選挙の告示前にできることとは?合法な政治活動と事前準備について解説

公開:2025.11.25 更新:2025.11.27

コラム

選挙の準備は、告示日より前からすでにはじまっています。
しかし、告示日前は「選挙運動」が法律で禁止されており、意図せず違法な事前運動に該当してしまう例も少なくありません。

候補者や運動スタッフは、どこまでが許される政治活動なのかを正しく理解し、告示日に向けた体制作りを進める必要があります。

本記事では、告示前に活動が制限される理由や、政治活動として行える範囲、選挙運動との違いを解説します。

選挙の告示前に活動が制限される理由

告示前に選挙運動が禁止されているのは、選挙の公平性を守るためです。
告示前から投票依頼や支持獲得を行うと、資金力や動員力の差がそのまま結果に影響してしまいます。

また、選挙運動が長期化すると、住民への負担が増えるでしょう。
社会生活との調和という観点からも、活動期間が厳格に定められています。

一方で、政治活動は憲法で保障された表現の自由の範囲内で行えます。
内容さえ誤らなければ、告示前でも実施可能です。

この線引きを正しく理解し、法令に沿って準備を進めましょう。

選挙運動と政治活動の違い

告示前の活動で混乱しやすいのが、「どこまでが政治活動で、どこからが選挙運動になるのか」という線引きです。

両者は似たような場面で行われるため誤解が生まれやすいものの、法律上の扱いはまったく異なります。
まずは、それぞれの意味を整理し、許される範囲を正しく理解しましょう。

選挙運動の定義

選挙運動とは、特定の候補者を当選させることを目的に投票を働きかける行為を指します。
街頭活動や選挙カーの運行など、日常の政治活動と見た目が似ているケースも多いため、まずは「どの行為が選挙運動にあたるのか」を明確に把握しましょう。

代表的な選挙運動の例は、下記のとおりです。

  • ・街頭での支持訴え
  • ・候補者名を掲げた選挙カーの運行
  • ・選挙用ポスターの掲示
  • ・選挙用ビラの配布

これらはいずれも「投票してほしい」という意図が直接・間接的に含まれるため選挙運動に該当します。

公職選挙法では、こうした行為を告示日から投票日前日までの限られた期間のみ認めており、期間外に行うと「事前運動」として違法になります。

告示前の活動では、内容・時期・表現のいずれも慎重に判断することが欠かせません。

政治活動として認められる行為

政治活動とは、政党や政治団体が政策や理念を広めるために行う一般的な活動で、告示前でも実施可能です。

政策説明の配布物や後援会報、講演会の開催などが代表例です。
ただし、内容や見せ方によっては選挙運動と誤解されるおそれがあるため、慎重な運用が必要です。

おもな政治活動には、下記のようなものがあります。

  • ・政策説明のチラシ配布や後援会報の発行
  • ・講演会・活動報告会の開催
  • ・政党・政治団体としての広報活動

政治活動は「政策の周知」に目的を限定し、安全な表現に配慮しましょう。

選挙運動と誤解されないためのポイント

政治活動を安全に行うためには、「選挙目的に見える表現」を避けることが欠かせません。
とくに告示前は、少しの表現の違いで事前運動と判断されるリスクが高まります。

注意すべきポイントは、下記のとおりです。

  • ・氏名・顔写真・キャッチコピーを大きく強調しない
  • ・告示直前に急激に露出を増やさない
  • ・特定の地域に大量に配布しない

また、文書やビラを作成する際は、政党名・政治団体名を主体にした構成にし、複数の弁士名を入れるなど政治活動の体裁を整えるとよいでしょう。

不安がある場合は、事前に選挙管理委員会へ相談することでリスクを回避できます。

告示前にできる3つの活動

告示前にできる活動は、下記のとおりです。

  • ・政治活動
  • ・立候補の準備行為
  • ・選挙運動の準備行為

詳しく解説します。

1.政治活動

政治活動は、政策や理念を伝えるための一般的な政治上の行為であり、告示前でも自由に行うことが認められています。

活動の種類は多岐にわたり、政策説明会や地域活動、後援会運営など、継続的な地盤作りに役立つ行為が中心です。

ただし、候補者名の強調や選挙を想起させる表現を含めると、政治活動の範囲を超えて事前運動と判断される可能性があります。
告示前は選挙色を出さない姿勢が欠かせません。

2.立候補の準備行為

立候補に必要な事務作業や手続きは、選挙運動とは別の「準備行為」として告示前から進められます。
とくに、下記の作業は告示前に済ませておくべきです。

  • ・公認・推薦を受けるための政党との調整
  • ・立候補届出に必要な書類の作成
  • ・供託金の納付
  • ・戸籍謄本などの添付資料の取得

また、後援会が実施する候補者選考会への参加なども、立候補に向けた活動として認められています。

これらの行為は投票依頼を伴わず、選挙の準備に直結する内容であるため合法です。
なお、外部に対して選挙運動と誤解される見せ方を避けることがポイントです。

3.選挙運動の準備行為

選挙期間中に使用するツールや体制を整える「内部的な準備」であれば、告示前でも行えます。

具体的には、下記のような準備行為です。

  • ・選挙事務所の賃貸契約の交渉
  • ・選挙カーとなる車両の確保
  • ・ウグイス嬢や運動員などスタッフの依頼
  • ・ポスターやビラの事前印刷

ただし、これらの物品やツールを実際に掲示・配布することは認められていません。

印刷物を配れば事前運動、事務所看板を掲げれば活動開始と見なされ、公職選挙法違反に該当するおそれがあります。

選挙告示前にやってはいけない事前運動

告示日前は「選挙運動」を行うことが法律で禁止されており、投票依頼につながる行為はすべて事前運動として違法となります。

とくに、下記のような行為は明確に禁止されているため、注意しましょう。

  • ・候補者名を掲げての戸別訪問
  • ・投票を促す文言を含むビラ配布
  • ・候補者名を連呼する街頭活動
  • ・のぼり旗・プラカードなどを使った選挙色の強いアピール
  • ・寄附の禁止(三ない運動:贈らない・求めない・受け取らない)に反する行為
  • ・飲食物の提供や署名集め
  • ・選挙カーを連ねて走行するなど気勢を張る行為

これらは、公職選挙法で厳しく取り締まられている代表的な禁止事項です。

安全に活動するためにも、常に選挙目的と誤解されないかを基準に判断しましょう。

告示前にできる政治活動の具体例

告示前であっても、選挙運動に該当しない範囲であれば、政策を広めたり地域との関係性を築いたりする政治活動は行えます。

具体例は、下記のとおりです。

  • ・政策や活動内容の発信
  • ・SNS・Webを活用した情報発信
  • ・候補者露出のリスク管理

詳しく見ていきましょう。

政策や活動内容の発信

政策・理念を分かりやすく伝える情報発信は、政治活動の中でも重要な取り組みです。
地域課題への考え方や議会での実績などを共有することで、有権者に政治家としての姿勢を伝えられます。

代表的な発信の例は、下記のとおりです。

  • ・地域課題に対する考え方の説明
  • ・活動報告会での取り組み紹介
  • ・後援会報やニュースレターの配布

一方で、発信内容が選挙と結びつく表現になると事前運動と見なされるおそれがあります。
とくに、当選を連想させる文言や、候補者名・写真を必要以上に強調する表現には注意が必要です。

SNS・Webを活用した情報発信

SNSやWebサイトを使った情報発信も、政策説明や活動紹介といった政治活動の範囲であれば告示前でも可能です。
日々の活動報告や地域課題への取り組み、議会での実績紹介などを発信することで、有権者に政治家としての姿勢を知ってもらえます。

一方で、オンライン発信は拡散力が高く、選挙目的と見なされやすい点に注意が必要です。
とくに告示直前はリスクが高まるため、政策・実績の周知に徹する姿勢が求められます。

候補者露出のリスク管理

告示前の政治活動では、候補者が登場する場面や見せ方に、十分気を配ることが大切です。
合法的な政治活動であっても、候補者名や写真が前面に出すぎると、選挙運動として誤解される可能性が高まります。

とくに下記のような行為は、選挙アピールと判断されかねません。

  • ・街頭での活動報告や政党広報の配布
  • ・氏名入りののぼり旗や候補者単独の大きな写真を掲げる

また、普段から政治活動が少ない方が告示直前に急に露出を増やすと、「選挙を意識した行動」と見なされやすくなります。

氏名や写真の扱いを抑える、複数の弁士名を記載する、政党活動としての体裁を整えるなど、表現の仕方を工夫することが安全に活動するための重要なポイントです。

告示前に進めておくべき準備

選挙運動が解禁される告示日から一気に活動を加速するためには、事前準備をどれだけ丁寧に進められるかが大きなポイントです。

とくに、下記のような準備は、告示前に整えておく必要があります。

  • ・選挙事務所の体制作り
  • ・資金計画と会計処理の準備
  • ・広報物・原稿の事前制作

詳しく解説します。

選挙事務所の体制作り

選挙事務所は選挙戦の司令塔となるため、告示前に体制を固めておくことが、選挙期間中の混乱防止につながります。

まず、事務所の候補地選定や賃貸の内交渉、責任者・事務局長・会計担当といった主要スタッフの役割分担は早めに決定しておきましょう。

また、次のような運営ルールも事前に整えておくとスムーズです。

  • ・電話対応・来客対応の流れ
  • ・書類の管理方法
  • ・事務所内の動線や作業スペースの配置

加えて、選挙カー班・ポスター班・広報班など、作業班の編成も告示前に済ませておくと、告示日からすぐに動き出せます。

資金計画と会計処理の準備

選挙では、下記のように多くの支出が短期間で集中します。

  • ・ポスター印刷費
  • ・事務所賃料
  • ・選挙カー関連費
  • ・人件費

告示前の段階で資金計画を立て、政治資金の管理方法や支出項目の分類基準、領収書整理ルールなど、会計処理の方針を明確にしておきましょう。

記録方法を統一し、帳簿フォーマットを事前に準備しておくことで、選挙後の収支報告書作成が大幅に楽になります。
選挙期間中は支払いが一気に増えるため、キャッシュフローの確認も必須です。

広報物・原稿の事前制作

告示後は、下記のように、短期間で多くの作業を同時に進める必要があります。

  • ・ポスター掲示
  • ・ビラ配布
  • ・選挙カー運行
  • ・演説活動

そのため、広報物や演説原稿の準備は告示前に必ず進めておきたい作業です。

選挙運動用ポスターやビラは、事前印刷が認められています。
デザインの確定・政策文の作成・写真選定といった準備を早めに済ませておくと、告示日に余裕が生まれるでしょう。

ただし、印刷物を告示前に配布・掲示することは事前運動となるため厳禁です。

告示後に選挙運動として行える活動

告示日に立候補の届出が受理されると、正式な選挙運動が可能になります。
選挙期間中は、文書図画の使用や広報活動の幅が一気に広がり、候補者の訴求を直接的に行えます。

代表的な選挙運動は、下記のとおりです。

  • ・選挙ポスターの掲示(選挙区内の掲示板へ正式に設置)
  • ・選挙運動用はがきの発送(交付された枚数の範囲で利用可能)
  • ・街頭演説・個人演説会での支持訴え
  • ・新聞広告・選挙用ビラの配布(選挙期間中のみ認められる)
  • ・選挙事務所の看板掲示・表示物の設置

告示前は準備のみが可能で、実際の使用・掲示・配布は告示日以降に限られる点がポイントです。

まとめ:告示前は政治活動と準備に徹しよう

告示前は、投票依頼につながる行為がすべて事前運動となります。
そのため、政治活動と内部的な準備に集中することが欠かせません。

候補者名や写真を強調しすぎる表現は事前運動と誤解されるおそれがあり、細かな配慮が必要です。

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専門スタッフが安全かつ適法な運用を支えてくれるため、候補者は本来の活動に集中できるでしょう。
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監修者

浅田 孝

アサダ印刷株式会社 代表取締役
W1N選挙カー 代表
1968年生まれ

累計400を超える選挙活動に従事、選挙カー貸出とともに候補者の寄り添い、共に当選を目指す。
モットーは、問い合わせメールに最短で返信(休日関係なく)依頼事は、経験なくても断らず全力で対応する。
常に、候補者目線で考え行動する。
選挙のプロであり、印刷のプロ。