選挙に関わる人が必ず理解しておくべきなのが「個別訪問」と「戸別訪問」の違いです。
どちらも有権者と直接対面する活動ですが、内容によっては選挙違反に該当し、候補者本人だけでなく支援者にも罰則が科される可能性があります。
とくに戸別訪問は、投票依頼を目的とした訪問行為として公職選挙法で禁止されているため、注意が必要です。
一方、政治活動として認められる個別訪問もあり、正しく理解していれば合法的に有権者と接点を持つことが可能です。
本記事では、個別訪問と戸別訪問の明確な違いと、違法と判断される境界線を解説します。
個別訪問と戸別訪問の違い
個別訪問と戸別訪問は、目的や訪問先によって法律上の扱いが大きく変わります。
それぞれの違いを、下表にまとめました。
|
項目 |
個別訪問 |
戸別訪問 |
|
目的 |
政治活動・後援会活動 (投票依頼を含まない) |
特定候補や政党への投票を求めること |
|
訪問先 |
支援者・後援会員・関係者 |
一般家庭・事業所など不特定多数 |
|
訪問のタイミング |
選挙期間外でも可能 |
選挙期間中でも禁止 |
|
法律上の扱い |
条件付きで認められる |
公職選挙法で全面禁止 |
|
禁止されるライン |
訪問中に投票依頼を行った時点で違法 |
戸別訪問として行えば、その時点で違法 |
両者の線引きを明確に理解し、ルールに沿った活動を心がけましょう。
▼選挙運動のルールについて詳しく知りたい方はこちら
選挙運動のルールとは?告示前にできることややってはいけないことも解説
戸別訪問とは
戸別訪問とは、選挙運動として特定の候補者や政党への支持を求めるために、家庭や店舗、事業所などを一軒ずつ訪ね歩く行為を指します。
ここでは、下記の項目ごとに戸別訪問について解説します。
- ・一軒ずつ訪問し投票依頼を行う行為
- ・戸別訪問が禁止されている理由
- ・違反した場合の罰則
- ・戸別訪問の具体例
詳しく見ていきましょう。
一軒ずつ訪問し投票依頼を行う行為
戸別訪問とは、選挙運動として有権者の家や会社を直接訪ね、特定の候補者や政党への投票を求める行為を指します。
訪問先が個人宅だけに限られず、店舗・事務所・工場なども含まれる点が特徴です。
実際に住居へ入らなくても、門口や庭先で呼び止めて支持をお願いした時点で戸別訪問に該当します。
相手が不在であったり面会を断られたりした場合でも、「投票依頼を目的として訪れた」事実があれば、違反と判断されます。
軽い気持ちでの訪問であっても、選挙運動として行えば法律違反となる点に注意が必要です。
戸別訪問が禁止されている理由
日本で戸別訪問が禁止されているのは、選挙の公平性と有権者の自由な意思決定を守るためです。
個人宅へ出向いて支持を求める行為は、人目の届かない状況で行われることが多い傾向があります。
相手に心理的な負担や「頼まれたから断りにくい」といった義理人情の影響を与えやすく、冷静な判断を妨げる可能性があります。
密室性の高さから、買収や利益誘導といった不正につながりやすい点も大きな問題です。
また、戸別訪問を実施するには多くの人手や費用がかかるため、経済力のある陣営が有利になり、候補者間の公平性が損なわれる懸念もあります。
こうした複数のリスクを踏まえ、日本では「戸別訪問の禁止は合理的」と判断し、憲法違反には当たらないとしています。
違反した場合の罰則
戸別訪問を行うと、公職選挙法に基づき厳しい罰則が科されます。
選挙運動のために一戸一戸を訪ね回る行為は、公職選挙法138条で明確に禁止されており、違反すると1年以下の禁錮または30万円以下の罰金の対象になります。
違反が認められた場合は、運動員だけでなく、候補者本人の当選無効や立候補禁止といった重大な影響が及ぶことも。
こうした厳格な規制は、違法な働きかけや買収行為を未然に防ぐためのものであり、選挙運動に携わるすべての人が理解しておく必要があります。
▼選挙違反になる行為について詳しく知りたい方はこちら
選挙違反になる行為とは?一般有権者も注意すべき禁止行為と罰則を解説
戸別訪問の具体例
次のような行為は、形式に関わらず「選挙運動を目的として家庭を訪れた」と判断されれば戸別訪問に該当します。
- ・自宅の門前で住民を呼び出し、投票を依頼する
- ・「ポスター掲示の承諾をお願いする」などと説明しつつ、実際は支持を求める
- ・署名活動を装いながら各家庭を回り、その場で候補者名や政党名をアピールする
- ・訪問先に入らず屋外で会話しただけでも、投票依頼を目的としていれば違反になる
- ・演説会への参加を強く勧めるなど、選挙運動への勧誘を行う
- ・候補者名・政党名を繰り返し伝え、実質的な支持要請を行う
このように、行為の形ではなく「選挙運動の目的」が判断基準となるため、意図せず違反に該当するケースも多く、注意が必要です。
個別訪問とは
ここでは、下記の項目ごとに個別訪問について解説します。
- ・支持者や関係者を対象とした訪問
- ・個別訪問が認められるケース
- ・個別訪問でも違法になるケース
詳しく解説します。
支持者や関係者を対象とした訪問
個別訪問とは、候補者や政党と日頃から関わりのある支持者や後援会員を対象に、活動報告や地域の相談対応などを行うために訪問する行為を指します。
訪問の目的は、議会での取り組みを伝える活動報告や行政への要望を聞き取る意見交換など、政治活動としての情報提供やコミュニケーションが中心です。
これらは選挙運動とは区別されるため、投票依頼を行わない限り公職選挙法に抵触しません。
ただし、訪問中に候補者名を強調したり、支持を促したりするような言動が加わった場合は、意図がなくても選挙運動と解釈されるおそれがあります。
個別訪問は内容次第で違法に転じるため、目的を明確にして慎重に行わなければなりません。
個別訪問が認められるケース
個別訪問として許容されるのは、「投票依頼を伴わない政治活動」に限られます。
具体的なケースは、下記のとおりです。
- ・定期的な議会報告の伝達
- ・後援会活動としての挨拶回り
- ・地域課題の相談受付
- ・行政サービスへの意見聴取
いずれも、選挙の結果に直接影響を与えるような働きかけを含まないため、公職選挙法の規制対象にはなりません。
支持者から相談の依頼があった場合など、相手側の要請に基づく訪問も問題ないとされます。
ただし、選挙期間が近づくと、訪問内容が誤解されやすくなるため、言動に細心の注意が求められます。
あくまで政治活動であると、明確に分かる形で行うことがポイントです。
個別訪問でも違法になるケース
個別訪問であっても、訪問中に候補者や政党への投票を促す言葉を口にした時点で「選挙運動」と見なされ、戸別訪問として違法になります。
とくに、下記のような行為は違反と見なされる可能性があります。
- ・「次の選挙でお願いします」「一票をお願いします」などの直接的な表現
- ・候補者名を強調した宣伝行為
- ・演説会への参加を強く促す行為
公選法は“相手との関係性”を基準にしていないため、友人や知人宅でも投票依頼をすればアウトです。
支持者訪問を装いながら不特定多数を回る行為は、実質的な戸別訪問と見なされる可能性もあります。
戸別訪問と判断されやすい行動
ここでは、戸別訪問と判断されやすい行動を紹介します。
- ・選挙期間中の挨拶回り
- ・アポイント訪問
- ・友人・知人宅への訪問
それぞれ見ていきましょう。
選挙期間中の挨拶回り
選挙期間に入ると、単なる「普段のお礼」や「近況報告」のつもりでも、候補者や支援者が家を訪れて挨拶をすると、戸別訪問と判断される可能性があります。
選挙期間中は有権者の家を訪ねる行為が投票依頼と結びつきやすく、外形的に選挙運動と見なされかねないためです。
玄関先で名前を名乗ったり、街頭演説の日程に触れたりした場合なども、選挙運動を目的とした訪問と解釈されるおそれがあります。
もともと関係性のある相手であっても、選挙期間中の訪問は誤解されやすく、選挙管理委員会がもっとも注意を促すポイントです。
アポイント訪問
相手から面会の予約を受けて訪問するケースは、一般的に戸別訪問には該当しません。
しかし、候補者側から連絡して「会いに行ってよいか」と申し出た場合や、活動報告を名目に家庭を訪れた場合、訪問内容によっては選挙運動目的と判断されます。
公職選挙法では、演説会の告知や候補者名を言い歩く行為も「選挙運動のため」であれば禁止されます。
そのため、アポイント訪問であっても安全とはいえません。
訪問目的が誤解されないよう、細かな言動に注意が必要です。
友人・知人宅への訪問
選挙期間中に友人宅を訪れ、候補者名や政党名に触れると、戸別訪問として扱われる可能性があります。
公職選挙法は相手との関係性ではなく、行為の目的で判断するため、親しい間柄であっても投票依頼や演説会の勧誘をすれば違法行為です。
政治活動の延長として友人宅を回っていても、選挙期間に入ると行動自体が選挙運動と誤解されやすいため注意しましょう。
あとから「訪問して投票を頼まれた」と申し出られるリスクもあります。
こうした誤解を避けるためにも、選挙期間中の知人訪問は控えるのが基本です。
連絡が必要な場合は、電話・メールなどの別手段を使うのが安全でしょう。
まとめ:個別訪問と戸別訪問の線引きを理解しよう
個別訪問と戸別訪問の違いを正しく理解することは、選挙運動を安全かつ適法に進めるうえで欠かせません。
選挙期間中は、挨拶や活動報告のつもりで行った行動でも、投票依頼と推定されれば戸別訪問と判断されるおそれがあります。
訪問先での言動やタイミングには細心の注意が必要です。
一方で、有権者との接点を確保するには、ルールの範囲内で効果的にメッセージを届ける工夫も行うとよいでしょう。
街宣活動を強化したい陣営には、法令遵守の運行管理と高品質な装備を備えた「W1N選挙カー」が最適です。
印刷会社ならではのデザイン力や書類手続きの代行など、候補者の負担を大幅に軽減しながら、選挙戦を有利に進めるサポートをそろえています。
選挙運動を安心して進めるための選択肢として、ぜひご活用ください。
>>お問い合わせはこちら

浅田 孝
アサダ印刷株式会社 代表取締役
W1N選挙カー 代表
1968年生まれ
累計400を超える選挙活動に従事、選挙カー貸出とともに候補者の寄り添い、共に当選を目指す。
モットーは、問い合わせメールに最短で返信(休日関係なく)依頼事は、経験なくても断らず全力で対応する。
常に、候補者目線で考え行動する。
選挙のプロであり、印刷のプロ。