選挙への出馬を検討している方にとって、公職選挙法に基づく選挙運動のルールは複雑で不安に感じることもあるでしょう。
「知らなかった」では済まされないため、正しい知識を身につけることが不可欠です。
本記事では、選挙運動の基本から活動可能な期間や時間帯、告示前にできること、そして禁止行為について解説します。
ぜひ参考にして、有権者から信頼されるクリーンな選挙運動を実践してください。
選挙運動とは何か?公職選挙法の基本ルール
選挙に関する活動には、守るべき多くのルールが存在します。
とくに「選挙運動」は公職選挙法によって厳しく定められており、その基本を正しく理解することが公正な選挙活動の第一歩です。
ここでは、選挙運動の基本ルールとして以下3つを解説します。
- ・選挙運動と政治活動の違い
- ・満18歳未満の者は選挙運動の禁止
- ・公務員の選挙運動の制限
それぞれ見ていきましょう。
選挙運動と政治活動の違い
選挙運動と政治活動は、公職選挙法で明確に区別されています。
選挙運動とは、特定の選挙において、特定の候補者の当選を目的として投票を働きかける行為です。
一方で政治活動は、政治上の目的を持つ活動全般から選挙運動を除いたものを指します。
この2つを区別する理由は、選挙の公正さを保つためです。
政治活動の自由は憲法で保障されていますが、選挙運動を無制限に認めると資金力のある候補者が有利になりかねません。
そのため、選挙運動には期間や方法に厳しい制限が設けられています。
満18歳未満の者は選挙運動の禁止
公職選挙法では、年齢満18歳未満の者の選挙運動を禁止しています。
選挙運動には、ビラ配りや電話での投票依頼といった直接的な活動だけでなく、インターネットを利用した活動も含まれます。
たとえば、18歳未満の者がSNSで特定の候補者への投票を呼びかける投稿をしたり、そうした投稿をシェアしたりする行為も禁止対象です。
ただし、選挙運動のための労務(ポスター貼りの手伝いや事務作業など)に従事することは例外的に認められています。
若者の政治参加は大切ですが、法律で定められた年齢制限は厳格に守らなければなりません。
公務員の選挙運動の制限
公務員は、その職務の公共性と政治的中立性を保つため、選挙運動が厳しく制限されています。
とくに、自身の地位を利用して選挙運動を行うことは固く禁じられています。
たとえば、教育者(学校の長や教員)が児童・生徒・学生に対して、その教育上の地位を利用して選挙運動を行うことなどです。
また、選挙管理委員会の委員・職員、裁判官や検察官・警察官といった特定の公務員は、その職務の性質上、在職中の選挙運動が全面的に禁止されています。
勤務時間外や自身の選挙区外であっても、所属する組織や自治体の長の定める区域内では選挙運動が制限される場合があります。
選挙運動ができる期間や時間帯のルール
選挙運動には厳格な時間制限があり、これらを守らなければ違法行為となります。
ここでは、以下3つを解説します。
- ・街頭演説や連呼行為の時間帯は午前8時から午後8時まで
- ・選挙運動期間内で活動する
- ・投票日当日はほとんどの選挙運動が禁止
詳しく見ていきましょう。
街頭演説や連呼行為の時間帯は午前8時から午後8時まで
有権者の生活に影響を与えやすい街頭演説や選挙カーによる連呼行為には、時間帯の制限が設けられています。
具体的には、午前8時から午後8時までの間に限定されています。
この時間外の街頭演説や、演説会場・街頭演説の場所以外及び自動車・船舶の上以外での連呼行為は禁止です。
ここでは、とくに注意すべき以下2つを説明します。
- ・朝立ちは午前8時以降に開始する
- ・選挙カーを午後8時までに停止する
これらの具体的なケースを理解することで、時間帯に関する違反を確実に防げます。
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朝立ちは午前8時以降に開始する
通勤時間帯に行われる「朝立ち」は、多くの有権者にアピールできる有効な手段ですが、時間には注意が必要です。
マイクを使って演説をしたり、候補者名を連呼したりする行為は、街頭演説にあたるため午前8時からしか開始できません。
午前8時より前にこれらの音声を用いた活動を行うと、公職選挙法違反となります。
ただし、候補者が名前入りのたすきをかけて駅前などに立ち、挨拶やお辞儀をするといった音声を発しない活動であれば、午前8時より前から行うことが可能です。
選挙カーを午後8時までに停止する
選挙運動用自動車、いわゆる選挙カーを使った活動も、午後8時でマイクの使用を完全に停止しなければなりません。
午後8時を1分でも過ぎて候補者名を連呼したり、演説を続けたりする行為は法律違反です。
もし、移動中に午後8時を迎えた場合は、速やかにマイクの電源を切り、音声が外部に漏れないようにしなければなりません。
なお、選挙カーの看板の照明は午後8時以降も点灯させておくことは問題ありませんが、音声による活動は厳しく制限されていることを忘れないでください。
選挙運動期間内で活動する
選挙運動は、法律で定められた期間内でのみ行うことが許されています。
具体的には、選挙の公示日または告示日に立候補の届出が受理された瞬間から、投票日の前日までの期間です。
この定められた期間外に行う投票依頼などの活動は「事前運動」と呼ばれ、公職選挙法で固く禁止されています。
事前運動の禁止は、すべての候補者が同じ条件で選挙戦をスタートできるようにするための大切なルールです。
投票日当日はほとんどの選挙運動が禁止
投票日当日は、有権者が静かな環境で最終的な意思決定を下せるよう、ほとんどの選挙運動が禁止されています。
街頭演説や選挙カーでの連呼行為はもちろん、ビラ配りや電話による投票依頼も一切できません。
これは、インターネットを利用した選挙運動も同様です。
投票日当日にSNSで「〇〇候補に投票してください」といった新たな投稿をしたり、過去の投稿をシェアしたりする行為は違反となります。
ただし、選挙運動期間中にWebサイトなどに掲載した情報を、投票日当日もそのまま公開しておくことは認められています。
選挙運動で告示前にできること
告示前の期間は、選挙運動は禁止されていますが、立候補準備や政治活動は可能です。
この期間を有効に活用することで、告示後の選挙運動をスムーズに開始できます。
ただし、事前運動と判断されないよう、言葉選びや活動内容には細心の注意が必要です。
ここでは、以下4つの活動について解説します。
- ・立候補の準備をする
- ・選挙運動の準備をする
- ・告示前にできる政治活動を行う
- ・事前運動とみなされないよう注意する
告示前の準備期間を計画的に活用することが、効果的な選挙運動につながります。
立候補の準備をする
立候補の届出に向けた事務的な準備は、告示前に行うことが認められています。
これらは選挙運動そのものではなく、立候補に必要な手続きの一環とみなされるためです。
具体的には政党からの公認や推薦を求める活動、後援会などが主催する候補者選考会への参加、立候補に必要な供託金を法務局へ納付する手続きなどがあげられます。
立候補届出に必要な書類を作成したり、戸籍謄本などの添付書類を準備したりすることも、当然ながら告示前に行うべき準備行為です。
選挙運動の準備をする
選挙運動期間中に使用するツールや体制を整えるための準備行為も、それが投票依頼のような外部への働きかけを伴わない限り、告示前に行うことが可能です。
たとえば、選挙事務所や選挙カーとして使用する物件や車両の借入れに関する内交渉、選挙運動員やウグイス嬢、運転手といったスタッフへの協力依頼などです。
選挙期間中に掲示するポスターや配布するビラ、選挙はがきなどを事前に印刷しておくことも認められています。
ただし、これらの準備はあくまで有権者への働きかけを伴わない内部的なものに限られます。
印刷したポスターを告示前に掲示し、事務所の看板を設置して活動実態を示すと、公職選挙法第129条で禁止されている事前運動とみなされるため、厳禁です。
告示前にできる政治活動を行う
告示前であっても「特定の選挙において、特定の候補者の当選を目的とする」選挙運動に該当しない限り、政治活動は原則として自由に行えます。
これは、自身の政治理念や政策を有権者に広く知ってもらうための重要な活動です。
具体的には、政策を訴えるための演説会の開催、議会での活動を報告する会の実施、後援会の会員募集や後援会報の配布などがあげられます。
ただし、これらの政治活動において特定の選挙を明示したり、候補者名を連呼したり、投票を直接依頼すると事前運動とみなされるおそれも。
活動の目的は、あくまで政治的な信条や政策の周知に留める必要があります。
事前運動とみなされないよう注意する
告示前の活動でもっとも注意すべき点は、合法的な政治活動と違法な事前運動の境界線です。
この判断は、活動の時期や内容、対象などを総合的に考慮して行われます。
たとえば、選挙が近づくにつれて候補者個人の名前や顔写真を過度に強調したビラを大量に配布すると、政治活動ではなく事前運動と判断されるリスクも。
とくに、これまで活動実績のない新人候補者の場合、選挙直前の活動はすべて選挙目的とみなされやすいため、より慎重な対応が求められます。
活動内容が事前運動にあたるか判断に迷う場合は、事前に管轄の選挙管理委員会に相談し、指導を仰ぐことが賢明です。
公職選挙法に基づき選挙運動でやってはいけないこと
公正な選挙を実現するため、公職選挙法ではとくに悪質とみなされる特定の選挙運動を禁止しています。
ここでは、代表的な禁止行為として以下6つを解説します。
- ・戸別訪問の禁止
- ・飲食物提供の禁止
- ・寄附の禁止(三ない運動)
- ・署名運動の禁止
- ・人気投票の公表禁止
- ・気勢を張る行為の禁止
これらの行為は選挙の信頼を根幹から揺るがすものとして、厳しく規制されています。
戸別訪問の禁止
特定の候補者への投票を得る、または得させない目的で、有権者の自宅や会社などを個別に訪問する「戸別訪問」は、公職選挙法で固く禁じられています。
選挙運動のために戸別に演説会の開催を知らせたり、特定の候補者名をアピールしながら歩いたりする行為も、戸別訪問とみなされます。
この規制は、訪問者からの圧力や人間関係のしがらみによって、有権者が自由な意思で投票できなくなる事態を防ぐためのものです。
ただし、路上や店先で偶然会った知人に投票を依頼する「個々面接」は認められています。
戸別訪問と個々面接の違いは、訪問の計画性や連続性の有無などが判断基準となります。
飲食物提供の禁止
選挙運動に関して、有権者や運動員に飲食物を提供することは、原則として禁止されています。
これは、飲食物の提供が買収行為につながるおそれがあるためです。
支持者が候補者を激励するために行う「陣中見舞い」として、お酒や弁当などを差し入れることも違反です。
ただし、すべてが禁止されているわけではなく、例外として「湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の茶菓子」の提供は認められています。
選挙事務所で食事するために提供される弁当も例外として容認されています。
選挙運動員や労務者に対し、政令で定められた金額の範囲内で、かつ定められた食数の上限を超えない範囲であれば差し支えありません。
寄附の禁止(三ない運動)
クリーンな選挙を実現するため、政治家の寄附は「贈らない、求めない、受け取らない」をスローガンとする「三ない運動」として、公職選挙法で厳しく禁止されています。
政治家が自身の選挙区内にいる個人や団体に対して寄附をすることは、時期や名目を問わず原則としてできません。
これには、地域のお祭りへの寄付や開店祝いの花輪、葬儀の香典なども含まれます。
ただし、政治家本人が結婚披露宴に自ら出席してその場で渡すご祝儀や、葬儀に自ら出席してその場で渡す香典など、罰則の対象外となる例外も定められています。
署名運動の禁止
特定の候補者に投票するように、または投票しないように働きかけることを目的として、有権者から署名を集める行為は禁止されています。
これは、署名という形式をとることで有権者に心理的な圧力をかけ、自由な投票を妨げる可能性があるためです。
たとえば、「〇〇候補を応援する会」といった名目で署名を集め、実質的にその候補者への投票を促す活動は、署名運動の禁止に抵触します。
後援会への入会を勧誘する際に、その名目で署名を集める行為も、投票依頼の趣旨が含まれていると判断されれば違反となる可能性があります。
人気投票の公表禁止
選挙に関して、誰が当選するかを予想するような人気投票を行い、その途中経過や結果を公表することは、公職選挙法で禁止されています。
人気投票の結果が有権者の投票行動に影響を与え「勝ち馬に乗ろう」という心理を働かせるなど、公正な判断を妨げるおそれがあるためです。
禁止されるのは新聞や雑誌、テレビといったメディアだけでなく、ビラやWebサイト・SNSなど、あらゆる媒体での公表が含まれます。
気勢を張る行為の禁止
選挙運動のために、自動車を連ねたり、隊伍を組んで往来したりするなどによって気勢を張る行為は禁止されています。
具体的には、選挙カーなどの自動車を何台も連ねて走行したり、のぼり旗などを持って集団で行進したりする行為がこれに該当します。
この規制は、こうした行為がほかの候補者や有権者に対して威圧感を与えたり、交通の妨げになったりすることを防ぐのが目的です。
候補者の名前を連呼しながらデモ行進のように練り歩くといった行為は、明確な違反となるため注意が必要です。
まとめ:正しい選挙運動のルールを理解してクリーンな活動を
選挙運動を成功させるには、公職選挙法の複雑なルールを正確に理解し、組織全体で法令順守を徹底することが不可欠です。
告示前の準備段階から投票日まで、時間制限や禁止事項を守りながら、効果的な選挙活動を展開する必要があります。
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浅田 孝
アサダ印刷株式会社 代表取締役
W1N選挙カー 代表
1968年生まれ
累計400を超える選挙活動に従事、選挙カー貸出とともに候補者の寄り添い、共に当選を目指す。
モットーは、問い合わせメールに最短で返信(休日関係なく)依頼事は、経験なくても断らず全力で対応する。
常に、候補者目線で考え行動する。
選挙のプロであり、印刷のプロ。