選挙カーで音楽を流すのは違法?許可・音量規制・対応策を解説

公開:2025.11.19 更新:2025.11.27

コラム

選挙カーで音楽を流してよいのか疑問に感じる方は多いでしょう。
公職選挙法では、選挙運動中の自動車や拡声機の使用は認められているものの、音楽の扱いについて明確な線引きはありません。

そのため、音量・時間帯・使用目的によってはトラブルにつながる可能性があります。
市販曲を流す場合は著作権の許諾が必要になるなど、法律面の確認も欠かせません。

本記事では、選挙カーで音楽を流す際に押さえておくべきルールや音楽を流すときの対応を解説します。

選挙カーで音楽は流せる?

選挙カーで音楽を流すこと自体は禁止されていません。
しかし、選挙運動に関するルールは公職選挙法で細かく定められているため、決められた範囲で音楽を使用することが求められます。

ここでは、公職選挙法で定められているルールや目的によって異なる扱いを解説します。

公職選挙法で定められているルール

公職選挙法では、選挙運動用自動車の使用や拡声機による呼びかけは認められています
なお、使用できる時間帯は午前8時から午後8時までと定められています。

一方で、音量についての具体的な数値基準は設けられていません。
「学校・病院などの周辺では静穏を保つよう努めること」という努力義務に留まっています。

音楽そのものについて直接的な規定はないため、流すこと自体は違法ではありません。
ただし、候補者名を繰り返す音源は連呼行為とみなされる可能性があるため、扱いに注意が必要です。

法律の範囲を理解したうえで、周囲への配慮を欠かさない運用が求められます。

目的によって異なる扱い

選挙カーで音を流す場合、その目的によって法律上の扱いが変わる点にも注意が必要です。

たとえば、走行中に認められているのは原則として候補者名や政党名を呼びかける「連呼行為」です。
長いメッセージや過度な宣伝音声は、不適切と判断される場合があります。

一方、停車して行う街頭演説では内容の自由度が高く、選挙公約や政策の説明が可能です。

市販曲や録音物を使用する際には、著作権の許諾が必要になります。
目的が単なるBGMであっても、著作者の同意を得ておくことが欠かせません。

このように、どの場面でどの音源を使うのかによって、適切な運用方法が異なります。

選挙カーで流せる音楽の種類

選挙カーで流せる音楽については、以下の場面が想定されます。

  • ・市販の曲を流す場合
  • ・オリジナル楽曲・フリー音源を使う場合
  • ・候補者オリジナルのテーマソングを制作する場合

それぞれ詳しく解説します。

市販の曲を流す場合

市販CDや配信で購入した楽曲を選挙カーで流したい場合は、まず著作権処理をクリアすることが重要です。
JASRACは、選挙運動や政治活動で音楽を使う際には、事前に著作者の同意を得る必要があると明示しています。

CD音源をコピーして別媒体に取り込む場合は、作曲者だけでなくレコード会社の許可が必要になるケースもあります。
「有名な曲をBGMにしたい」と考える場合は、早めにJASRACの選挙運動音楽利用窓口や、権利者側へ相談しましょう。

オリジナル楽曲・フリー音源を使う場合

候補者や支援者が自作した曲や、フリーBGMサイトの音源を使う場合でも、「自由に使えるから大丈夫」と思い込むのは危険です。
作詞・作曲を担当した人には著作権が発生します。
ボランティアが制作した場合などは、選挙での利用範囲やクレジット表記について事前に合意しておくことがポイントです。

また、フリー音源は、配布サイトごとに利用規約が異なります。
「営利・商用OKでも政治活動は禁止」と定めているケースもあります。

利用前に規約をよく確認し、選挙カーや動画での使用が認められているかチェックしておきましょう。

候補者オリジナルのテーマソングを制作する場合

最近は、候補者のイメージに合わせたオリジナルテーマソングを制作し、選挙カーや動画で活用するケースも増えています。
この場合も、下記のような制作に関わる人の著作権・著作者人格権が発生します。

  • ・作詞・作曲者
  • ・アレンジャー
  • ・演奏者

歌詞を選挙向けに差し替えたり替え歌にしたりする際には、本人の意に反する改変とならないよう、事前に合意しておきましょう。

選挙カーの音量・時間帯に関する法律

選挙カーの使用は公職選挙法で細かく定められています、とくに「音量」と「使用できる時間帯」は、多くのトラブルや相談が寄せられるポイントです。

ここでは、選挙カーの音量・時間帯に関する法律について詳しく解説します。

音量規制|明確な上限はないが配慮が必要になる

公職選挙法には、選挙カーの音量について「◯デシベルまで」といった具体的な数値基準は定められていません。
ただし、同法第140条の2には「学校や病院などの周辺では静穏を保つよう努めること」という努力義務が明記されています。

地域によっては、一般の騒音条例や暴騒音規制も存在します。
中には、公共施設周辺での音量に独自のルールを設けている自治体も。

選挙カーは法的に許可された手段である一方、住民への配慮を欠くと苦情につながりやすいのが懸念事項です。
場所や時間帯に応じた音量調整は欠かせないでしょう。

時間帯規制|8〜20時に制限されている

選挙カーで連呼行為や演説を行えるのは、公職選挙法によって「午前8時から午後8時まで」に明確に制限されています。
この時間帯以外は、候補者名を呼びかけたり、拡声機を使ってアピールしたりすることは認められていません。

朝早い時間帯や夜間の選挙カーが見られないのは、この規定によるものです。
時間帯が厳格に定められている理由は、生活環境への影響を最小限に抑えるためです。

また、選挙運動を行える期間自体も「立候補の届け出受理後〜投票日前日まで」という法律上の制約があります。
選挙カーを運用する際は、音を出せる時間帯が決まっていることを前提に、効率のよいルートや運行計画を組むことが求められます。

走行中の音量・停車中の音量の違い

法律上「走行中は◯デシベル、停車中は〇デシベル」といった区別があるわけではありません。
しかし、実務上は行える行為に違いがあります。

走行中の選挙カーで認められているのは、候補者名や政党名を短く繰り返す「連呼行為」が中心で、長い政策説明や演説はできません。
一方、停車して行う街頭演説では、政策説明や支援の呼びかけなど、内容の自由度が大きく広がります。

ただし双方とも「学校・病院周辺では静穏保持に努める」義務があり、場所によっては音量を落とす対応が求められます。

走行中は、周囲に音が拡散しやすいため、音量が問題になりやすいでしょう。
一方、停車時は演説が長くなる分、近隣への負担が大きくなるなど、それぞれ特有の注意点を把握しておくのがポイントです。

選挙カーで音楽を流すメリット

選挙カーに音楽を取り入れることで、従来の連呼中心の広報とは異なるアプローチが可能になります。

とくに、音の印象は視覚情報よりも記憶に残りやすく、候補者の認知度向上にも効果的です。
選挙PRの幅を広げるという点でも大きなメリットがあります。

具体的なメリットは次のとおりです。

  • ・メロディーによって候補者名やイメージが記憶に残りやすくなる
  • ・従来の選挙カーより柔らかい印象を与え、好感度を高めやすい
  • ・地域の雰囲気に合った曲を使うことで、親近感を持ってもらいやすい
  • ・テーマソングを用いると、SNS動画・街頭PRとの一貫性を作りやすい

音楽を上手に活用すれば、候補者の魅力を多面的に伝えられます。

▼選挙カーの効果について詳しく知りたい方はこちら
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選挙カーで音楽を流すデメリット

選挙カーで音楽を流す場合には、法律面・運用面での注意が欠かせません。
とくに、著作権処理や周辺住民への配慮を怠ると、かえってイメージダウンにつながるリスクがあります。

想定されるデメリットは、次のとおりです。

  • ・市販曲は著作者の同意が必要で、許諾が得られない場合もある
  • ・音量が原因で苦情やSNSでの批判につながる可能性が高い
  • ・学校・病院周辺では静穏保持義務があり、運用に手間がかかる
  • ・曲の内容や歌詞によっては政治的中立性・倫理性の問題を招く

このようなリスクを踏まえながら、場面に合わせた音量調整や権利処理を適切に行うことで、トラブルを避けられます。

選挙カーで音楽を流すときの対応

ここでは、音楽を流す際に押さえておきたい対応を解説します。

  • ・選挙管理委員会へ事前に相談する
  • ・選挙カーの設備の適正化を図る
  • ・騒音トラブルを回避する運用を行う

詳しく見ていきましょう。

選挙管理委員会へ事前に相談する

音楽を流す予定がある場合は、選挙管理委員会へ事前に相談しておくことをおすすめします。

公職選挙法には、音楽利用そのものを細かく規定した条文はありません。
しかし、自治体によって運用方針や周辺施設への配慮基準が異なるため、事前に確認しておくことで不要なトラブルを避けられます。

著作権処理が必要な楽曲を使用する場合は、並行してJASRACなどの権利元との調整も行うと安心です。

選挙カーの設備の適正化を図る

音楽を流す選挙カーを運行するには、下記のような設備を適切に整える必要があります。

  • ・スピーカー
  • ・アンプ
  • ・音源機器

音割れが発生したり、歪んだ音が響いたりすると、選挙カーの印象が悪くなるだけでなく、騒音トラブルの原因にもつながります。

スピーカーの向きや取り付け位置、アンプの出力調整は事前にテスト走行を行い、周囲に不快感を与えない範囲に設定しましょう。

市販曲や録音物を流す場合は、再生機器の音質が著作権処理にも影響するケースがあります。
音源が劣化しない複製方法を選び、再生機器の設備を整えることがポイントです。

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騒音トラブルを回避する運用を行う

選挙カーが原因となる苦情の多くは、「音量」「時間帯」「走行ルート」に関するものです。

選挙運動は午前8時から午後8時までに限られるため、早朝・夜間に音を出さないのは必須です。
しかし、それ以外の時間帯でも住宅地や学校、病院付近では音量を下げるなどの配慮が求められます。

とくに音楽は広範囲に聞こえやすく、連呼行為よりも不快感を与えやすい点に注意が必要です。
また、周辺住民の生活パターンを把握し、迷惑になりにくいルート設定を行うことも効果的です。

運用スタッフが常に状況を把握し、状況に応じて音量をこまめに調整しましょう。
そうすることで無用なトラブルを防ぎ、選挙活動への理解を得やすくなります。

まとめ:地域に配慮しながら音楽を活かす選挙運動をしよう

選挙カーで音楽を活用することは、候補者の印象作りや認知向上に効果的です。
しかし、音量・時間帯・周辺環境への配慮は欠かせません。

運行管理に不安がある場合は、法令遵守から設備の調整までサポートする「W1N選挙カー」の活用をご検討ください。

専門スタッフが運用上の抜け漏れを防ぎながら、地域に配慮した選挙カー運行を支援します。
>>お問い合わせはこちら

監修者

浅田 孝

アサダ印刷株式会社 代表取締役
W1N選挙カー 代表
1968年生まれ

累計400を超える選挙活動に従事、選挙カー貸出とともに候補者の寄り添い、共に当選を目指す。
モットーは、問い合わせメールに最短で返信(休日関係なく)依頼事は、経験なくても断らず全力で対応する。
常に、候補者目線で考え行動する。
選挙のプロであり、印刷のプロ。