選挙カーの運転手は、選挙期間中に候補者のメッセージを地域へ届ける重要な役割を担います。
安全な運転はもちろん、走行ルートの管理やスタッフとの連携など、想像以上に専門性が求められるポジションです。
また、日当や公費負担制度を正しく理解しておけば、不要なトラブルを避け、選挙運動を円滑に進められるでしょう。
本記事では、運転手の役割や求められるスキル、公費負担制度、日当の考え方を解説します。
選挙カーの運転手の役割とは
選挙カーの運転手は、単にハンドルを握るだけの存在ではなく、選挙活動全体の進行を支える「裏方の要」です。
ここでは、おもな仕事内容・求められるスキルと適性について解説します。
おもな仕事内容
選挙カー運転手の業務は、安全運転に加えて、選挙活動の進行管理という側面も大きく占めます。
おもな仕事内容は、下記のとおりです。
- ・朝はルートの確認・車両点検を行う
- ・走行中はスピード管理や後続車への配慮を徹底する
- ・候補者の街頭演説に合わせて停車位置を微調整する
- ・地域の交通量や安全性を踏まえた状況の判断を行う
また、候補者が休憩を取る時間帯には、車上運動員だけで連呼を続ける「から回し」を行うことも。
そのため、選挙事務所との連絡役を担う場面も生じます。
こうした細やかな配慮と調整が積み重なることで、1日の選挙運動をスムーズに進められます。
求められるスキルと適性
選挙カーの運転手には、下記のようなスキルや適性が求められます。
- ・長時間の運転に耐えられる体力
- ・交通マナーの徹底
- ・状況に応じた柔軟なルート変更能力
- ・看板を載せた車両でも狭い道を安全に走れる運転技術
- ・候補者・車上運動員との円滑なコミュニケーション能力
地理に詳しい方や、落ち着いて判断できる方は選挙カー運転手に向いています。
「安全」「法令順守」「計画どおりの運行」を両立するため、実務としては高い適応力が必要とされる仕事です。
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選挙カーの公費負担制度とは
選挙カーの運行には、車両の借上げ費用や燃料代、運転手への報酬など、さまざまな費用が発生します。
これらをすべて候補者の自己負担にすると、資金力の違いによって選挙活動の規模に大きな差が生まれかねません。
こうした不公平を抑えるために設けられているのが「公費負担制度」です。
ここでは、制度の目的と、公費負担を利用できる選挙の種類を解説します。
公費負担制度の目的
公費負担制度の大きな目的は、資金力による選挙格差を抑えて「お金のかかり過ぎない選挙」を実現することです。
選挙費用をすべて候補者が自己負担する場合は、資金が豊富な候補者ほど車両を多く用意したり広報物を大量に配布できたりと、経済力が選挙結果に影響してしまう可能性があります。
こうした状況を防ぐため、公職選挙法では下記の費用に関して、上限額の範囲内で公費負担を認めています。
- ・選挙運動用自動車の使用料
- ・選挙運動用ポスター・ビラの作成費
この制度を利用することで、資金面で不利な新人候補でも一定水準の選挙運動を展開しやすくなるでしょう。
公費負担が利用できる選挙の種類
公費負担制度は、公職選挙法が適用される幅広い公職選挙で利用できます。
対象となるのは、下記のとおりです。
- ・衆議院議員総選挙
- ・参議院議員通常選挙
- ・都道府県知事選挙
- ・都道府県議会議員選挙
- ・市区町村長選挙
- ・市区町村議会議員選挙
ただし、どの費用が公費負担の対象になるか、また上限額がいくらかは、選挙の種類や自治体の条例によって異なります。
さらに、供託金が没収された候補者は公費負担を請求できないなど、制度の利用には細かな条件があります。
立候補を検討している場合は、事前に選挙管理委員会の資料や説明会で内容を必ず確認しましょう。
選挙カー運転手の日当はいくら?
選挙カーの運転手は、選挙運動を支える大切な存在です。
そのため報酬は「好きな金額を渡せる」わけではなく、法律に基づいて上限額が決められています。
ここでは、運転手の日当相場・制度で支払われる上限・支払われるタイミングを詳しく見ていきましょう。
運転手の日当相場
選挙カー運転手の日当は、1日1万円〜1万2,000円ほどが一般的です。
本来、選挙運動に関わる方にお金(報酬)を払うことは原則禁止です。
しかし、運転手は「労務者」という扱いになり、例外的に報酬が認められています。
自治体によっては、選挙カーの運転手だけ特別に「1日12,500円までOK」というルールを設けるなど、実務上の上限が定められています。
それ以上を渡したり、裏金として渡したりすると選挙違反です。
必ず上限内におさめる必要があります。
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公費負担制度で支払われる上限
自治体の公費負担制度を利用すると、選挙カー運転手の報酬は、1日1万2,500円を上限として補填されます。
補填されるのは、あくまで届け出た運転手1名分のみです。
また、公費負担は、候補者ではなく運転手本人に対する対価として認められているため、上限額を超える報酬を支給すると選挙違反となります。
選挙カーの運行体制を組む際は、「1日1名まで」「上限1万2,500円」という基本ルールを押さえておきましょう。
日当が支払われるタイミング
運転手の日当は、アルバイトのようにその場で手渡しされるものではありません。
公費負担制度を利用する場合、支払いはすべて選挙後の後払いとなります。
具体的な流れは、次のとおりです。
- ・選挙終了後に必要書類(請求書・内訳書・使用証明書)を提出する
- ・自治体の審査を経て、後日、銀行口座へ振り込まれる
振込まで数週間〜数ヶ月かかることもあるため、日当は「すぐにもらえるものではない」点を理解しておきましょう。
なお、公費負担を使わず候補者が自費で支払う場合でも、大半が選挙後の精算となるケースが一般的です。
交代制の場合の注意点
選挙カーは長時間走るため、午前と午後で運転手を交代することがあります。
しかし、公費負担の対象は、1日1名だけなので、2人分を公費で支払えません。
また、運転手として届け出ている方を途中で変更する場合は、選挙管理委員会に手続きが必要です。
勝手に2人に分けて支払ったり、水増しして渡したりすると、違法(運動員買収)になるため、注意しましょう。
可能な限り、届け出た1名で運行スケジュールを組むのが理想です。
選挙カーの運転手が押さえておくべき法律ルール
選挙カーの運転は、通常のドライブとは大きく異なります。
ここでは、運転手が必ず知っておきたい「選挙カー特有のルール」を解説します。
選挙カーの走行ルール
選挙カーに乗れる人数は、公職選挙法および自治体の運用によって最大6名と定められており、具体的な人数の内訳は、下記のとおりです。
- ・候補者1名
- ・運転手1名
- ・車上運動員4名
車の定員が6名未満の場合は、車両の定員が優先されます。
また、選挙カーは街中を低速で走ることが多く、後続車の妨げにならない配慮も必須です。
渋滞ができた場合は、左側に寄せて先に通すなど、周囲への気遣いが選挙の印象にも影響するでしょう。
さらに、信号無視・違法駐停車・急な車線変更などの交通違反は、通常と同様に取り締まりの対象です。
日頃の運転マナーが、そのまま候補者の信用に直結します。
選挙カーのシートベルトは不要?
選挙カーには、道路交通法施行令で定められたシートベルト着用義務の適用除外があります。
適用除外となるのは、下記の「選挙運動のために車に乗っている者」です。
- ・候補者
- ・車上運動員
- ・選挙運動のために選挙カーを運転する運転手
ただし、この免除は「安全確保までしなくてよい」という意味ではありません。
とくに、車上運動員は立ってマイクを使用する場面も多く、急ブレーキや急発進は転倒の危険があるため厳禁です。
「選挙カーはシートベルトが不要だから、警察が見逃している」といった誤解も聞かれます。
正しくは、法律で適用除外が認められているだけです。
スピード違反や危険運転など、基本的な交通ルールは取り締まり対象である点は忘れてはいけません。
乗り出し行為は違法
選挙期間中に見られがちな下記のような行為は、すべて道路交通法の「乗車方法違反」に該当します。
- ・窓から身を乗り出して手を振る
- ・ドアを開けながらアピールする
- ・後部ハッチを開けて立ち上がる
選挙カーに認められている特例はシートベルトの免除のみで、身体を車外に出す行為は認められていません。
車上運動員は、車内でマイクを使えますが、不安定で危険な姿勢でのアピールは不可です。
こうした行為は動画や写真で拡散されやすく、候補者のイメージを大きく損なうリスクもあります。
運転手は車内の人が安全に姿勢を保てるよう、慎重に運行することが求められます。
まとめ:運転手の役割とルールを理解して、安全な選挙運動を進めよう
選挙カーの運転手は、単に車を運転するだけでなく、選挙活動全体の安全と進行を支える欠かせない存在です。
乗車人数の制限やシートベルト免除の特例など、選挙カーならではの法律ルールも多いため、正しい知識を身につけておきましょう。
また、日当の上限や公費負担制度の仕組みを理解しておくことで、候補者・運動員・運転手の間で行き違いが生まれにくくなります。
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浅田 孝
アサダ印刷株式会社 代表取締役
W1N選挙カー 代表
1968年生まれ
累計400を超える選挙活動に従事、選挙カー貸出とともに候補者の寄り添い、共に当選を目指す。
モットーは、問い合わせメールに最短で返信(休日関係なく)依頼事は、経験なくても断らず全力で対応する。
常に、候補者目線で考え行動する。
選挙のプロであり、印刷のプロ。