選挙が近づくと、選挙カーのアナウンスや候補者名の連呼が気になるという声も多く聞かれます。
しかし、これらの行為は公職選挙法で認められた正当な選挙運動の1つです。
候補者が限られた期間で有権者にメッセージを届けるために欠かせない手段です。
一方で、ルールを誤解したまま運用すると、思わぬ違法行為に該当する可能性があります。
本記事では、選挙カーがどこまで合法なのか、違法となるケース、正しい運用方法を解説します。
選挙カーは合法?
選挙カーは、候補者が限られた期間で多くの有権者に名前や考えを届けるための代表的な選挙手法です。
選挙カーの基本的なルールは、下記のとおりです。
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- ・選挙カー自体は合法(公職選挙法による規定)
- ・選挙運動期間のみ使用が認められる
- ・運動用自動車の届出が必須
選挙カーそのものは、公職選挙法で定められた「選挙運動の方法」として認められており、必要な手続きを踏めば合法的に運用できます。
違法になる選挙カーの行為
選挙カーは、有権者に候補者の存在を知ってもらううえで有効ですが、使い方を誤ると公職選挙法違反に発展するおそれがあります。
選挙カーで起きやすい代表的な違反は、下記のとおりです。
- ・選挙期間外の走行・名前連呼
- ・許可されていない掲示物を掲げる
- ・音量・時間帯の違反
- ・未届出車両の使用
- ・買収・寄付と誤解される言動
詳しく解説します。
選挙期間外の走行・名前連呼
選挙カーが使用できるのは、公示・告示日から投票日前日までの選挙運動期間に限られています。
この期間外に名前を連呼したり政策を訴えたりする行為は、「事前運動」とみなされ、違法と判断される可能性が高い行為です。
とくに、政治活動車と選挙カーの境界を誤り、告示直前までアナウンスしてしまうケースは多く見られます。
事前運動に該当すると、禁錮刑や罰金に加えて、候補者本人の選挙権・被選挙権が停止される重大な結果につながることも。
選挙カーを使い始めるタイミングは、必ず選挙管理委員会のスケジュールに合わせる必要があります。
▼事前運動について詳しく知りたい方はこちら
選挙運動のルールとは?告示前にできることややってはいけないことも解説
許可されていない掲示物を掲げる
選挙カーに掲示できる看板や表示物には、サイズ・枚数・文言など細かな基準が設けられています。
規格外の看板や、ロゴ・キャッチコピーなど不適切な表示を掲示すると「文書図画」に関する規定違反となるおそれがあります。
さらに、看板やスピーカーといった装備は、車両の構造や装置として、道路運送車両法の保安基準を満たさなければなりません。
大型の看板を載せすぎる、固定方法が不十分といった状態では、車検不適合や道路交通法違反になる場合も。
必ず事前審査や選挙管理委員会への確認を行いましょう。
選挙カーの事前審査とは?必要書類・手続きの流れを解説
▼事前審査について詳しく知りたい方はこちら
音量・時間帯の違反
候補者名の連呼やアナウンスは、選挙運動として認められていますが、無制限に音を出してよいわけではありません。
公職選挙法では明確な音量上限は設けていないものの、実際の運用は自治体の騒音規制条例に基づき、早朝・夜間の拡声行為が制限されるのが一般的です。
また、学校・病院付近で大音量を出すと、警察や選挙管理委員会から指導が入る場合があります。
住宅街での長時間の連呼や過度な音量は、住民トラブルの原因にもなりやすく、選挙イメージにも大きな影響を与えるでしょう。
未届出車両の使用
選挙カーとして使用する車両は、選挙管理委員会に「選挙運動用自動車」として、届け出なければなりません。
未届出の車両で名前を連呼したり政策を訴えたりする行為は、公職選挙法違反となる可能性があります。
また、選挙カーの装備には細かな法令基準があります。
そのため、未届出車両では、道路交通法や道路運送車両法にも抵触するリスクもあるでしょう。
とくに、支援者が善意で勝手に車を走らせるケースは、連座制の対象になる場合も。
連座制とは、運動員などが違法行為をした際、その候補者本人にも責任がおよび、当選無効や公民権停止といった厳しい処分が下される制度のことです。
重大なリスクを防ぐためにも、必ず選挙管理委員会の審査を通過した届出済みの車両のみ使用しましょう。
買収・寄付と誤解される言動
選挙カーのアナウンスやスタッフの発言内容が、金品提供を連想させると、公職選挙法における買収・寄付禁止に抵触するおそれがあります。
「応援したら〜を差し上げます」「寄付をお願いします」などの表現は、実際に金銭が動いていなくても、違反と判断される可能性があります。
また、飲食物の提供を示唆する言い回しや特定の有権者への便宜をほのめかす発言も危険です。
違反が認定されれば、候補者本人だけでなくスタッフも処罰対象になります。
選挙カーに対するよくある誤解
選挙カーには細かなルールが設けられている一方で、実際の運用について誤解されやすい点が多く存在します。ここからは、選挙カーに関して誤解が生じやすいポイントを解説します。
名前の連呼は合法
選挙カーで候補者名を繰り返しアナウンスする行為は、公職選挙法で特例的に認められている「連呼行為」に該当します。
本来、短い文言を連続して呼ぶ行為は規制対象です。
しかし、選挙運動用自動車の上・街頭演説の場・個人演説会場の3つに限り、例外的に許可されています。
政治活動の車は選挙期間外でも運行可能
選挙カーと混同されがちですが、政策説明や活動報告を行う「政治活動用の車両」は選挙の告示前でも使用できます。
政治活動とは、特定の選挙の当選を目的とする選挙運動とは別の扱いになり、平常時の政治的広報活動として認められています。
一方、告示直前の時期は「事前運動」と判断されやすい点に注意が必要です。
候補者名を強調する表現や「応援をお願いします」といった投票依頼につながる言動は、厳しくチェックされます。
候補者本人が乗っていなくてもOK
「選挙カーには候補者本人が必ず乗らなければならない」といった誤解はよくありますが、法律上そのような義務はありません。
運転手と車上運動員(最大4人)がいれば運用でき、候補者不在での名前の連呼も認められています。
また、候補者の代わりに応援弁士が政策を訴える「政策宣伝車」が使われることもあり、本人が乗車していないこと自体が違法となるわけではありません。
音量制限は全国共通ではない
選挙カーの音量について、国としてデシベル基準などの明確な上限は設けられていません。
公職選挙法で定められているのは、「学校・病院周辺では静穏保持に努めること」と、選挙運動ができる時間帯(午前8時〜午後8時)のみです。
つまり、国レベルでは細かな音量ルールがなく、どの程度の音が許容されるかは法律上は判断されていません。
選挙カーがうるさいと感じる背景には、こうした全国統一の基準が存在しないことが影響しています。
選挙カーに関する罰則内容
選挙カーの運用には、公職選挙法だけでなく道路交通法や自治体の条例など、複数の法律が関わっています。
運用ルールを誤ると、想定以上に重い処分が科されることも。
ここでは、選挙カーで注意すべき罰則を解説します。
公職選挙法に基づく罰則
選挙カーに関わる罰則の中でもっとも重いのが、公職選挙法に違反した場合に適用されるものです。
具体的な内容は下記のとおりで、刑事罰の対象となり得ます。
- ・事前運動:選挙期間前に名前を連呼する行為
- ・運動買収:運動員に報酬や飲食物を提供する行為・寄付を示唆する発言
違反内容によって1年以下の禁錮や30万円以下の罰金、買収行為なら3年以下の懲役といった重罰が科されることも。
さらに、公職選挙法には「連座制」があり、違反を行ったのがスタッフであっても、候補者本人の当選無効や公民権停止につながる可能性があります。
道路交通法違反になるケース
選挙カーは選挙運動の手段であっても、一般車両と同じく道路交通法の適用を受けます。
とくに問題になりやすいのが「駐停車違反」と「積載物の基準違反」です。
街頭演説のための停車は、選挙期間中に限り規制対象外ですが、それ以外の場所で長時間停車した場合は通常の駐車違反として取り締まりの対象となります。
また、看板・スピーカーなどの装備が積載基準を超えている場合は、道路運送車両法にも抵触します。
選挙カーであっても交通ルールは免除されないため、運転手が直接罰則を受ける点に注意が必要です。
条例違反による指導・警告
国に音量基準がない一方、多くの自治体では騒音防止条例や環境保全条例によって、独自の運用ルールを設けています。
これらに違反すると、警察や自治体から注意・警告が行われ、場合によっては拡声行為の中止が求められることも。
とくに学校・病院・保育施設付近では静穏確保を義務づける自治体が多く、大音量での走行は条例違反と判断されやすい傾向にあります。
地域ごとのルールを理解したうえで運用しましょう。
合法的に選挙カーを運用するポイント
ここでは、合法的に選挙カーを運用するポイントを解説します。
- ・選挙管理委員会に事前に相談する
- ・運転手・スタッフへルールを共有する
- ・音量や走行ルートの設計を行う
詳しく見ていきましょう。
選挙管理委員会に事前に相談する
選挙カーを運用するうえで最初に行うべきなのは、選挙管理委員会への事前相談です。
掲示物のサイズやスピーカーの取り付け方法、必要書類の扱いなどは自治体ごとに細かな運用が異なります。
確認を怠ると、届出が受理されない可能性もあります。
また、政治活動車との境界や事前運動にあたらないかといった判断が曖昧なまま進めると、思わぬ違反につながるリスクも。
選挙管理委員会は手続きの案内や仕様の確認を行ってくれるため、不安点があれば早い段階で相談しておきましょう。
運転手・スタッフへルールを共有する
選挙カーで発生する違反の多くは、スタッフがルールを正しく理解していないことが原因です。
スタッフが行った違反であっても候補者本人に責任が及ぶ「連座制」が適用されることもあり、陣営全体に重大な影響が出るおそれがあります。
これらを防ぐためには、下記についての決まりをまとめたマニュアルを作成し、スタッフ全員に共有することが重要です。
- ・乗車できる人数
- ・発言ルール
- ・禁止事項
- ・停車の扱い
事前に認識をそろえておけば、現場での判断ミスやトラブルを大幅に減らせます。
音量や走行ルートの設計を行う
選挙カーを合法・安全に運用するためには、国のルールと自治体の条例を踏まえた音量調整とルート設計が不可欠です。
住宅街や生活道路を長時間走行すると住民トラブルにつながりやすく、候補者への印象低下にも直結します。
事前に地図を確認し、下記について把握したうえで、時間帯に配慮したルートを設計しましょう。
- ・学校や医療機関の位置
- ・交通量の多い通り
- ・住居密集地
過度な大音量を避け、地域の生活環境に配慮した運用を徹底することで、苦情を抑えつつ効果的な選挙活動を行えます。
まとめ:選挙カーの運用ルールを押さえて、トラブルを未然に防ごう
選挙カーの運用で大切なのは、候補者やスタッフが安心して活動できるように、公職選挙法や道路交通法など、複数のルールを正しく守ることです。
こうしたリスクを避け、法令に沿った安全な運用を実現したいなら、「W1N選挙カー」をご利用ください。
必要書類の準備や届出サポート、看板・音響設備の法令基準チェックなど、専門スタッフが一括で対応いたします。
陣営が悩みがちなグレーゾーンも事前に整理し、安心して使える選挙カーを提供します。
選挙活動の効果を最大限に高めながら、トラブルを回避したい方は、ぜひ「W1N選挙カー」の活用をご検討ください。

浅田 孝
アサダ印刷株式会社 代表取締役
W1N選挙カー 代表
1968年生まれ
累計400を超える選挙活動に従事、選挙カー貸出とともに候補者の寄り添い、共に当選を目指す。
モットーは、問い合わせメールに最短で返信(休日関係なく)依頼事は、経験なくても断らず全力で対応する。
常に、候補者目線で考え行動する。
選挙のプロであり、印刷のプロ。