選挙期間に選挙カーを運行するには、看板や拡声器の仕様が法令に適合しているかを確認するための「事前審査」が欠かせません。
基準を満たさないまま告示日を迎えると選挙カーが使えず、選挙運動に大きな支障が出る可能性があります。
さらに、看板の積載方法によっては警察の「設備外積載許可」が必要となるケースも。
こうしたトラブルを防ぎ、告示日にスムーズに届出を済ませるために、選挙管理委員会では事前に書類の不備をチェックしています。
本記事では、事前審査の流れや必要な書類、費用の目安を解説します。
選挙カーの事前審査とは
選挙カーの事前審査とは、選挙運動に使用する自動車や看板・音響設備が、公職選挙法の規格に適合しているかを事前に確認する手続きです。
候補者の人物評価ではなく、記載漏れや書類不足、看板サイズの超過などを早めに把握し、告示日の届出に支障が出ないようにする目的があります。
なお、看板や拡声器の積載許可は選挙管理委員会ではなく警察の管轄です。
そのため、別途「設備外積載許可申請」が必要になります。
事前審査を受けておくことで、告示日当日のトラブルを避け、選挙カーを確実に利用できる体制を整えられます。
選挙カーの事前審査の流れ
ここからは、選挙カーの事前審査の流れを順番に解説します。
- 1.選挙カーの仕様を決める
- 2.必要書類を準備する
- 3.選挙管理委員会へ提出する
- 4.審査・書面確認が行われる
- 5.車種・設備の基準に適合しているかを確認する
- 6.証票・標示板を受領する
- 7.選挙運動期間の開始後に使用可能になる
詳しく見ていきましょう。
1.選挙カーの仕様を決める
事前審査の第一段階は、使用する選挙カーの仕様を固めることです。
下記のように、細部まで決めていきます。
- ・車種やサイズ
- ・側面看板の寸法・素材・取り付け位置
- ・拡声器・アンプの数、出力、設置位置
看板の寸法がわずかでも基準を超えると、警察の積載許可が下りない可能性があるため注意が必要です。
制作会社・レンタル業者と設計段階から綿密に調整しておくことで、書類作成・審査もスムーズに進められるでしょう。
▼○○について詳しく知りたい方はこちら
選挙カーの看板のルールとは|役割や注意点を解説
2.必要書類を準備する
仕様が確定したら、選挙管理委員会へ提出する書類を準備します。
代表的な書類は、選挙運動用自動車使用届、車検証の写し、看板の寸法入り図面などです。
看板を積載する場合は、警察の「設備外積載許可申請」に必要な書類も用意します。
公費負担を利用する場合は、レンタル車両のナンバーや所有者情報も必要となるため、早めに準備しましょう。
3.選挙管理委員会へ提出する
書類が揃ったら、予約した日時に選挙管理委員会で事前審査を受けます。
職員が記載内容を細かく確認し、記入漏れや不足書類があればその場で指摘されます。
不備が多い場合は、修正して再提出する必要があるため、事前審査は一度で完了しないことも。
事前審査は、選挙準備について不明点を直接相談できる大切な機会でもあります。
疑問点は積極的に確認しながら進めるとスムーズです。
4.審査・書面現物確認が行われる
看板や音響設備の配置が基準に適合しているかを、提出された図面・写真のみで確認する方式が主流になっています。
近年は多くの自治体で「選挙カーの現物持ち込み」は廃止されており、警察による積載審査も同様に書面審査で完結するケースが一般的です。
ただし、選管が最終確認として追加の車両写真を求めたり、看板の取り付け位置について補足説明を求める場合があります。
確認されるポイントは下記のとおりです。
- ・看板の寸法・地上高・取り付け方法が図面どおりか
- ・拡声器の数・向き・設置場所が規格に適合しているか
- ・積載許可が必要なサイズかどうか
書面審査がすべて完了すると、選挙カーに掲示するための標示板(証票)の交付へと進みます。
5.車種・設備の基準に適合しているかを確認する
審査の過程では、選挙管理委員会と警察の双方が、提出資料の内容どおりに車両や設備が法令基準を満たしているかを確認します。
選挙カーには多くの自治体で、下記のような制限があります。
- ・乗車定員10人以下
- ・オープンカー、サンルーフ付き車は使用不可
- ・側面看板は縦273cm×横73cm以内
- ・拡声器は1組まで(公選法第140条の3)
また、看板を車体からはみ出す形で取り付ける場合は、道路交通法に基づく設備外積載許可が必要です。
この許可の審査も「書面審査」で行われ、看板の寸法・取り付け状況が分かる写真や図面の提出が求められます。
いずれかの基準を満たしていないと許可が下りず、そのあとの工程がすべて止まってしまいます。
現物制作前に業者と仕様を入念に確認することが重要です。
6.証票・標示板を受領する
すべての審査が完了すると、選挙管理委員会から選挙運動用自動車標示板(プレート)と証票が交付されます。
標示板と証票は、「この車両が選挙運動に使用する正式な車である」ことを示すもので、車体の見やすい位置への掲示が義務です。
告示日直前の交付になることも多いため、受領方法や必要書類は事前に選挙管理委員会へ確認しておきましょう。
7.選挙運動期間の開始後に使用可能になる
標示板と証票を受領しただけでは、選挙カーを運行することはできません。
選挙カーを使用できるのは「告示日以降の選挙運動期間」に限られています。
公職選挙法では、告示日前の選挙運動が禁止されているため、下記のような行為は「事前運動」と判断されるおそれがあります。
-
- 選挙名や候補者名を掲げた看板を付けたまま走行する
拡声器でアナウンスを行う
告示日の朝に立候補届が受理された時点で、選挙運動が正式に解禁となり、選挙カーの使用が可能になります。
事前審査に必要な書類一覧
選挙カーの事前審査では、選挙管理委員会が確認する書類と、警察の設備外積載許可で求められる書類の両方を準備する必要があります。
一般的に提出を求められる書類は、下記のとおりです。
- ・選挙運動用自動車使用届
- ・車検証の写し
- ・看板の寸法入りデザイン図
- ・車両写真(三面図・積載状況が分かるもの)
- ・拡声器・音響設備の仕様書
- ・標示板交付申請書
- ・補助運転者の情報書類
これらの書類は自治体や警察署により名称・必要枚数が異なります。
とくに、写真の角度や必要カット数は地域によって差があることも。
選挙管理委員会・警察が配布する、最新のチェックリストに沿って準備を進めましょう。
事前審査の結果が出るまでの期間
事前審査の結果が出るまでの期間は、一般的に2〜5日程度が目安とされています。
- ・岐阜県警:設備外積載許可の標準処理期間を「5日」と明記
- ・熊本県警:交付まで「数日を要する場合がある」と案内
また、看板を車体に積むための設備外積載許可は、多くの警察署で即日交付ではなく、後日交付が基本です。
選挙前は申請が集中し処理が遅れやすいため、告示日前ギリギリの申請は、不合格・間に合わないリスクが大きいでしょう。
書類提出は1〜2週間以上前を目安に、早めの対応をおすすめします。
▼選挙カーの申請方法について詳しく知りたい方はこちら
選挙カーの申請方法|必要書類・規格・手続きの変更点を解説
事前審査で不備があるとどうなる?
提出書類に不備がある場合、事前審査は「差し戻し」扱いとなり、修正したうえで再提出が必要です。
よくある不備は、下記のとおりです。
- ・看板が法定サイズを超えている
- ・写真の角度が不十分で、取り付け状況が確認できない
- ・音響設備の仕様書に記載漏れがある
- ・補助運転者の情報を記入していない
- ・車検証の写しが不足している
再提出自体は可能ですが、審査の受付期間には限りがあります。
初回提出でのミスを極力減らす工夫が必要になるでしょう。
事前審査までにかかる費用の目安
選挙カーの事前審査そのものはシンプルな手続きですが、実際に準備を進めるうえでは、複数の費用が発生します。
ここでは、事前審査までにかかる費用の目安を項目ごとに解説します。
事前審査の手数料
選挙カーに関する事前審査について、選挙管理委員会が手数料を徴収することは原則ありません。
事前審査は公職選挙法に基づき、選挙運動の円滑化を図る目的で行われます。
そのため、候補者の費用負担はなく「無料」で対応している自治体もあります。
看板が車体からはみ出す場合に必要となる道路交通法上の「設備外積載許可」についても、警察署への申請手数料は無料です。
ただし、書類のコピー代や車両写真の撮影費など、細かな実費が発生する場合があります。
看板制作費
選挙カーに取り付ける側面看板は、公職選挙法で「縦273cm×横73cm以内」と寸法が厳格に規定されています。
このため、候補者の多くは専門業者に制作を依頼します。
費用相場は、1枚あたり3〜10万円程度です。
下記の要素によって、価格が変わります。
- ・素材(アクリル板・アルミ複合板など)
- ・デザインの複雑さ
- ・夜間照明に対応した仕様
看板は左右で2枚必要になるため、総額で数万円〜十数万円程度が一般的です。
音響設備費
選挙カーに搭載する音響設備は、下記の構成が基本です。
- ・拡声器1組
- ・アンプ
- ・マイク
レンタルする場合の費用は、選挙期間(7日前後)で5〜15万円程度が一般的な目安です。
車種や選挙戦略によっては、複数スピーカーや屋根上ステージ仕様が必要になり、追加費用が発生する場合もあります。
音響設備は品質がそのまま活動の成果に直結するため、バッテリー性能や配線の安全性もポイントです。
選挙カー本体にかかる費用
選挙カー本体にかかる費用は、車種によって大きく異なります。
レンタルする際の一般的な相場は、下記のとおりです。
- ・軽自動車:15〜20万円前後
- ・普通車:20〜30万円前後
- ・ワンボックス型:25〜35万円以上
これらは、車両本体・音響設備・看板取付などを含むパッケージとして提供されることが多く、業者によりセット内容は異なります。
選挙区が広い場合は燃料代が増えるため、総額が高くなる点にも注意しましょう。
まとめ:事前審査の仕組みを理解し、トラブルなく選挙カーを運用しよう
選挙カーを適法に運用するためには、早い段階で事前審査に必要な書類を揃え、看板や音響設備が公職選挙法の基準に沿っているか確認することが重要です。
看板の寸法違いや積載許可の不足があると、告示日に選挙カーが使えないという深刻なトラブルにもつながりかねません。
準備を前倒しで進めるほど、審査の差し戻しにも落ち着いて対応できるため、選挙戦のスタートを確実に迎えられるでしょう。
「W1N選挙カー」では、車両の手配から看板制作、音響設備の準備などを一括でサポートします。
専門スタッフが基準に沿った仕様で制作・申請をサポートを行うため、はじめての選挙でも安心して準備を進められます。
限られた時間の中で選挙活動に集中したい方は、「W1N選挙カー」の活用をご検討ください。
>>お問い合わせはこちら

浅田 孝
アサダ印刷株式会社 代表取締役
W1N選挙カー 代表
1968年生まれ
累計400を超える選挙活動に従事、選挙カー貸出とともに候補者の寄り添い、共に当選を目指す。
モットーは、問い合わせメールに最短で返信(休日関係なく)依頼事は、経験なくても断らず全力で対応する。
常に、候補者目線で考え行動する。
選挙のプロであり、印刷のプロ。