選挙カーの看板のルールとは|役割や注意点を解説

公開:2025.11.14 更新:2025.11.27

コラム

選挙カーに取り付ける看板には、一般の広告物とは異なる明確なルールがあり、サイズや掲示位置・記載内容まで、公職選挙法で細かく規定されています。

基準を守らない看板を使用すると、候補者や陣営に是正指導が入るだけでなく、選挙運動全体に悪影響を及ぼすことも考えられるでしょう。
本記事では、選挙カーの看板の基本ルールと注意点を解説します。

選挙運動に使用する看板とは

選挙運動で使用される看板は、候補者の当選を目的とする活動を支える「文書図画」にあたります。
公職選挙法によって、掲示の可否や取り扱いが細かく定められています。

候補者名や政党名を表示することは可能ですが、掲示できる大きさ・位置・点数には明確な基準があるのが特徴です。

選挙カーに取り付ける看板も同様に、法令と自治体の運用ルールの両方を守る必要があります。

政治活動用看板との違い

政治活動用看板と選挙運動用看板は、使用目的適用されるルールが大きく異なります。

政治活動用看板は、日常的な政治活動や後援会活動に用いられる掲示物です。
通年掲示できますが、サイズ・枚数に制限があります。

一方、選挙運動用看板は「特定の選挙における候補者の当選」を目的とした掲示物です。
公示日(告示日)から投票日前日までの期間しか掲示できません。

選挙カーに取り付ける看板もこの分類に含まれます。
とくに、車両に取り付けるためのサイズ基準や走行時の安全基準が厳格に定められています。

選挙カーに掲示が認められている表示物

選挙カーに掲示できる表示物には、公職選挙法に基づく明確な規定があるものと、自治体の運用判断にゆだねられているものがあります。

ここでは、代表的な掲示物について解説します。

側面に掲示する氏名・政党名等の表示板

選挙カーの側面に掲示する看板は、有権者に候補者名を認知してもらうための主要な表示物です。

公職選挙法第143条では、選挙運動用自動車に取り付けるポスター・立札・看板の類は掲示が認められています。
看板の大きさの上限は「273cm×73cm以内」です。

多くの陣営では候補者名を大きく掲載し、政党名やカラーを組み合わせて視認性を高めています。

一方で、取り付け位置や方法については、道路交通法による安全基準を満たすことが必要です。
視界を遮る位置への取り付け、鋭利な突起が出る構造、落下の危険がある固定方法などは禁止されています。

選挙管理委員会が交付する標示板

選挙カーには、選挙管理委員会が交付する「標示板(標識板)」の掲示が義務づけられています。
これは、候補者が正式に立候補届出を行い、選挙運動用自動車として認められた車両であることを示す公的な表示物です。

標示板には候補者名・選挙区・選挙の種類などが記載され、目立つ位置に取り付ける必要があります。
掲示していない車両は選挙カーとして認められず、名前の連呼などの活動を行うと違法になります。

標示板は自作不可で、破損時の再交付も選挙管理委員会への申請が必要です。

▼選挙カーに関する違法行為について詳しく知りたい方はこちら
選挙カーの違法行為とは?NG行為と正しい運用を徹底解説

前後面の掲示物

選挙カーの前面・後面に掲示する看板やプレートについては、公職選挙法上の明確な規定がなく、自治体の運用にゆだねられている領域です。

多くの自治体では「側面と同様に文書図画として掲示可能」としていますが、以下の条件を満たすことが前提となります。

  • ・側面看板と同じサイズ上限(縦273cm×横73cm以内)を超えない
  • ・運転者の視界を妨げない(前面ガラス周囲は厳格)
  • ・落下防止などの安全基準を満たす

前後面の掲示を検討する場合は、必ず事前に選挙管理委員会および警察署へ確認しましょう。

選挙カーに掲示できる看板のサイズ・枚数のルール

選挙カーに取り付ける看板は、公職選挙法上「文書図画」として扱われ、サイズや設置方法には一定の基準があります。

ここからは、看板のサイズ・枚数のルールを解説します。

  • ・側面に掲示する看板のサイズ
  • ・掲示できる枚数
  • ・取り付け位置の基準
  • ・突出禁止・落下防止など安全基準

詳しく見ていきましょう。

側面に掲示する看板のサイズ

選挙カーの側面に掲示できる看板のサイズは、公職選挙法施行令によって「縦273cm・横73cm以内」と定められています。
この範囲であれば、候補者名や政党名を大きく配置可能です。
しかし、車両の構造やドアの位置によって実際に取り付け可能なサイズは異なるため、事前の採寸が欠かせません。

また、看板が車幅を大きく超えて突出すると、道路交通法で定める「積載物のはみ出し禁止」に抵触する可能性があります。
安全面を理由に許可が下りない場合もあるため、図面を添えて相談しましょう。

掲示できる枚数

公職選挙法第143条には、選挙カーに取り付ける看板の「枚数制限」は設けられていません。
側面2枚を基本とし、前後面に小型のプレートなどを追加すること自体は法令上禁止されていません。

ただし、視界の確保・灯火類やナンバープレートの非遮蔽・落下防止など、道路交通法上の安全要件を満たすことが大前提となります。
とくに前面ガラス付近は視界確保義務が厳しく、自治体によっては前後面の掲示を制限する運用もあります。

そのため実務では、側面看板2枚+選挙管理委員会の標示板+必要最小限の補助プレートという構成が一般的です。

これは法的な上限ではなく、安全確保と実務運用に基づく目安であり、最終判断は選挙管理委員会・警察署の確認によって決まります。

取り付け位置の基準

看板の取り付け位置には、公職選挙法に加え、道路交通法の「視界確保義務」が深く関連します。
フロントガラスや運転席側の窓は運転に必要な視界を妨げるため、掲示物の貼付が禁止されています。

また、後部ガラス周辺では、下記を覆う掲示が道路交通法違反となるため注意が必要です。

  • ナンバープレート
  • テールランプ(灯火類)

さらに、車体上部に看板を設置する場合は、「設備外積載許可」によって、地上高3.8m以内で固定することが求められます。

前後面に看板を設置したい場合は、図面を持参して選挙管理委員会と警察署に事前確認を行いましょう。

突出禁止・落下防止など安全基準

看板が法令のサイズ基準を満たしていても、安全に取り付けられていなければ使用は認められません。
設備外積載許可では、以下のような基準が求められます。

  • ・車体幅からの過度な突出禁止
  • ・走行中の振動でも落下しない強固な固定
  • ・鋭利な角や突起を作らない(歩行者保護)
  • ・風圧に耐えられる強度の確保

大型看板は風の影響を受けやすく、自治体によっては安全面の理由から掲示を制限する判断がなされる場合も。

基準に反した取り付けを行った際は、警察署から撤去指導が入ったり、選挙カーとして運行できなくなる可能性があります。

看板に表示できる内容のルール

選挙カーの看板は、公職選挙法で定められた「文書図画」にあたります。
そのため、記載できる内容には一定の基準があります。

ここでは、看板に載せられる内容と、注意が必要な表現について詳しく見ていきましょう。

表示できる項目

選挙カーの看板には、下記の基本情報を記載できます。

  • ・候補者名
  • ・政党名
  • ・役職名
  • ・スローガン

公職選挙法ではこれらを禁止する条文はなく、内容面では比較的自由度があります。
ただし、事実と異なる経歴や過度な実績を記載する行為は、公職選挙法235条の「虚偽事項の公表」に該当するため厳しく禁じられています。

また、企業ロゴや商品名など、選挙活動と関係のない宣伝に見えるデザインは「営利目的の広告」と受け取られるおそれがあるので不適切です。

選挙カーの看板は、必要な情報に絞り、簡潔で分かりやすくまとめることが基本となります。

顔写真の扱い

選挙期間中であれば、候補者の顔写真を看板へ掲載することは問題ありません。
これは公職選挙法143条で認められる「文書図画」の範囲に含まれ、選挙ポスターや選挙公報と同様に扱われるためです。

一方、選挙期間前に氏名と顔写真をセットで掲示する場合は政治活動用ポスター扱いとなり、掲示できる枚数やサイズに制限が生じます。

また、顔写真のみで氏名を載せない場合でも、本人と特定できる見た目であれば「氏名類推事項」と判断され、自治体によっては事前運動と評価される可能性も。

写真の扱いは掲示時期や自治体の判断が影響するため、事前に選挙管理委員会へ確認しましょう。

▼事前運動について詳しく知りたい方はこちら
選挙運動のルールとは?告示前にできることややってはいけないことも解説

キャッチコピーの許容範囲

理念や政策の方向性を示すキャッチコピーは、看板に記載することが可能です。
公職選挙法にはキャッチコピーそのものを禁止する規定はなく、政策や人物像を端的に伝える表現は問題ありません。

ただし、「必ず勝たせてください」「〇〇候補に投票を」といった投票依頼の文言は、選挙期間外では完全に禁止されます。

また、「次の市長は〇〇」「未来の議員〇〇」のように、特定選挙への立候補を示唆する表現は事前運動とみなされる可能性が高く危険です。

政党公認を示す表現も、候補者名と併記すると選挙運動と解釈されやすいため、掲示時期や文脈に応じて慎重に扱いましょう。

禁止される内容

看板で禁止される内容は、公職選挙法の規定に基づいて明確に定められています。

おもな禁止事項は、下記のとおりです。

区分

禁止される内容の例

虚偽事項の公表(公職選挙法235条)

  • 実績の偽装
  • 事実と異なる肩書きの記載
  • 誤解を与える経歴

誹謗中傷(同法235条の2)

  • 他候補者の人格攻撃
  • 名誉を傷つける表現

利害誘導(同法221条)

  • 利益提供を示唆する表現(例:割引・特典)
  • 物品提供を連想させる文言

営利目的の広告

  • 企業ロゴでの商品宣伝
  • 候補者と無関係な商材紹介

※法令に明記はないが、選挙運動の範囲外として実務上認められない

事前運動につながる表現(公職選挙法129条)

「〇〇に投票を」「必ず勝たせてください」などの投票依頼

選挙期間前に立候補を強く示唆する表現

選挙カーの看板は自由度がある一方、選挙の公正性を守るための禁止事項を遵守して制作することが求められます。

誤認・誇張表現の注意点

看板は道行く有権者の目にすぐ触れるため、誤認を招く表現は避けなければなりません。

法令上明確に禁止されるのは虚偽表示ですが、自治体の運用では次のような表現も問題視されることがあります。

  • ・過度に誇張された実績の記載
  • ・他候補と誤認されるデザイン
  • ・氏名を記載せず、愛称やイニシャルだけを大きく表示

これらは「氏名類推事項」とみなされ、事前運動と判断される可能性があります。

また、挑発的・攻撃的な文言は、政治的表現の自由の範囲を超え、選挙運動の品位保持義務に反すると指摘されるケースも。

看板はあくまで候補者の情報を正しく伝えるための手段であり、誤解を与えない透明性の高い表現が求められます。

看板に関する禁止行為

選挙カーの看板は、公職選挙法と道路交通法の両方で細かくルールが定められています。

おもな禁止行為は下記のとおりです。

  • ・規定サイズ(縦273cm×横73cm以内)を超える看板の使用
  • ・企業広告・商品宣伝など、選挙運動と無関係な掲示物の追加
  • ・政治活動用看板(通年掲示可)を選挙カーの看板としてそのまま流用する行為
  • ・視界・灯火類・ナンバープレートを妨げる位置への設置
  • ・固定不良や突出など、安全基準を満たさない取り付け方法(落下の危険など)
  • ・他候補者を誹謗中傷する表現や、虚偽の情報を掲載する行為

これらの禁止行為は、選挙の公平性と走行時の安全を守るために設けられています。

掲示前には、必ず選挙管理委員会と警察署の双方で確認し、トラブルを未然に防ぎましょう。

看板の照明・点灯に関するルール

選挙カーの看板を日没後も見やすくするために照明を使用できます。
しかし、道路交通法に基づき「眩惑灯火」や「視界の妨げ」と判断されると制限を受ける場合があります。

具体的なルールを詳しく見ていきましょう。

照明による掲示は原則可能

選挙カーの看板をライトで照らす行為は、公職選挙法で禁止されておらず、一般的に認められています。

実務でも、多くの選挙カーが夕方以降に看板を照射し、有権者への視認性を確保しています。

ただし、下記の場合、道路交通法上の指導を受ける可能性があるため、注意が必要です。

  • ・光が強すぎて運転の妨げになる
  • ・周囲の車両や歩行者が眩しく感じる
  • ・ライトが車体から突出している

照度は控えめにし、照明器具は確実に固定したうえで使いましょう。

20時以降の点灯には警察署の許可が必要な場合がある

照明器具が車体外へ張り出している場合、道路交通法上の「設備外積載」に該当することがあります。
その場合は、警察署への許可申請が必要です。

また、自治体や警察署によっては「夜間の照明使用」に独自の基準を設けていることもあります。
夜間(20時以降)に点灯する予定がある場合は、事前に警察署へ相談しておきましょう。

LED等の電飾の扱い

LEDライトそのものは公職選挙法で禁止されていません。

しかし、下記のようなケースでは使用を制限される可能性があります。

  • ・点滅ライトや強い光量で、道路交通法の眩惑灯火に該当する場合
  • ・内照式看板や派手な電飾が「選挙カーとしてふさわしくない」と自治体が判断する場合
  • ・装飾目的の電飾が安全性を損なう場合

選挙用品業者でも「電光掲示板や内照式看板は自治体判断で不可となることがある」と明言されており、実務でも判断が分かれるポイントです。

そのため、点滅させない・光量を抑える・装飾目的に使わないといった配慮を行いましょう。

看板掲示前に必要な届出・交付物

選挙カーに看板を取り付ける際は、公職選挙法・道路交通法の双方に関連するため、事前に整えておくべき手続きが複数あります。

看板が車体の外側に取り付けられる場合は、安全面の観点から警察署での確認が必要となることも。
選挙カーの看板掲示に関して、準備すべきおもな手続きは次のとおりです。

項目

目的

標示板

(選挙運動用自動車の表示)

選挙カーであることを明示するための法定表示物

設備外積載許可

(看板・照明の外付け)

看板・照明を車体外に固定するための安全確保

選挙運動用自動車の使用届

(自治体により必要)

車両と運転者情報の届出(自治体で運用差あり)

照明設置に関する確認

(必要な場合)

看板と照明が外付け扱いになるケースの安全確認

看板サイズ・仕様の事前確認

(自治体運用)

文書図画規格(縦273cm×横73cm以内)の適合確認

看板掲示前の手続きは「法令」よりも「自治体の運用差」が大きい領域です。

地域によって判断が分かれるため、必ず選挙管理委員会と警察署の双方へ確認しましょう。

まとめ:看板のルールを押さえて、適法な選挙カー運用を徹底しよう

選挙カーの看板は、サイズ・記載内容・取り付け方法など、多くの項目が公職選挙法で細かく定められています。

また、道路交通法に基づく安全基準や自治体ごとの運用ルールも存在します。
事前確認を徹底し、適法で安全な選挙カー運用を行いましょう。

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監修者

浅田 孝

アサダ印刷株式会社 代表取締役
W1N選挙カー 代表
1968年生まれ

累計400を超える選挙活動に従事、選挙カー貸出とともに候補者の寄り添い、共に当選を目指す。
モットーは、問い合わせメールに最短で返信(休日関係なく)依頼事は、経験なくても断らず全力で対応する。
常に、候補者目線で考え行動する。
選挙のプロであり、印刷のプロ。