選挙違反になる行為とは?一般有権者も注意すべき禁止行為と罰則を解説

公開:2025.11.12 更新:2025.11.27

コラム

選挙違反は、候補者や陣営だけでなく、一般の有権者でも意図せず犯してしまう可能性があります。
SNSでの投票依頼や選挙ポスターへの落書きなど、軽い気持ちの行動でも公職選挙法違反に該当します。

選挙の公正性を守るため、公職選挙法には細かなルールが定められているのが特徴です。

本記事では、一般人が誤って違反しやすい行為や、罰則の種類を解説します。
正しい知識を身につけ、安全に選挙へ関わりましょう。

目次

選挙違反になる行為とは

選挙違反とは、公職選挙法で禁止されている行為の総称です。

ここでは、公職選挙法の目的と、一般有権者にも規制が及ぶ理由を解説します。

公職選挙法で定められる選挙違反の概要

公職選挙法は、選挙が公平・適正に実施されるように、選挙運動の方法や期間・費用、関係者の行為などを詳細に規定した法律です。

その目的は、有権者の自由で公正な判断を守ることです。
買収や事前運動、演説妨害のように選挙の公正性を損なう行為は、厳しく禁止されています。
違反内容によって科される罰則は異なり、軽微な行為でも罰金となる場合があります。

また、候補者の場合は刑事罰に加えて、当選無効や立候補制限など、政治生命に深く関わる影響が及ぶことも。

近年はインターネット選挙が普及したことで、SNS投稿が違法と判断されるケースも増えています。
選挙に関わるすべての人が、内容を理解しておくことが大切です。

一般有権者も処罰対象になる理由

公職選挙法は「選挙に影響を及ぼす行為」を広く対象としています。
そのため、候補者や運動員だけでなく、一般の有権者も処罰される可能性があります。

故意でなくても違法となる可能性がある行為は、下記のとおりです。

  • ・選挙ポスターを破る、落書きする
  • ・SNSで「〇〇に投票して」と呼びかける
  • ・候補者から金品を受け取る
  • ・投票日当日に選挙運動をする

また、未成年者は選挙運動自体が禁止されているため、ビラ配布や選挙運動にあたる投稿・リポストも違法となります。

「悪気がなかった」「知らなかった」では免責されないため、有権者自身が最低限のルールを理解しておきましょう。

選挙運動・政治活動・日常の意見表明の違い

選挙期間中に混同されやすいのが「選挙運動」と「政治活動」の違いです。

種類

目的

実施できる時期

選挙運動

特定の選挙で特定候補を当選させること

公示(告示)日〜投票日前日までのみ

政治活動

政策の発信、政党支持、後援会活動など

通年で可(期間制限なし)

また、SNSでの普段の感想・意見のように、当選を目的としない発信は日常の意見表明にあたります。

問題になるのは、政治活動や日常の投稿が「投票依頼」と誤認される内容になった場合です。
文言や時期を誤ると、意図せず選挙運動と判断され、違反に問われることがあります。

一般人も選挙違反になる代表的な行為

公職選挙法の規制は候補者だけに適用されるものではなく、一般の有権者にも広くおよびます。

ここでは、一般人も選挙違反になる代表的な行為を解説します。

集会や街頭演説を妨害する行為

候補者が行う街頭演説や個人演説会は、有権者に政策を伝える重要な機会です。
これらを妨害する行為は、公職選挙法が禁じる「選挙の自由妨害」に該当します。

下記の行為は、明確に違法です。

  • ・大声で演説をかき消す
  • ・拡声器で上書きする、怒鳴り込む
  • ・物を投げる
  • ・進行を妨げる

一般人であっても懲役や罰金の対象となります。

意見を述べる自由はありますが、候補者の発言機会を奪うレベルの行動は許されません。
批判や意見表明を行う際は、冷静で節度ある態度を心がけましょう。

ポスターや立て看板の破損・落書き・無断撤去

選挙ポスターや掲示板の掲示物は、公職選挙法に基づいて設置される正式な選挙運動用文書です。
これを破る・はがす・落書きする行為は明確な公職選挙法違反であり、「器物損壊罪」が成立する可能性もあります。

下記のように、軽微な行為でも違法となる可能性があります。

  • ・部分的に破る
  • ・上から紙を貼る
  • ・傷をつける

候補者への好悪に関わらず、掲示物に触れる行為自体が禁止です。
違法行為を見かけた場合は、選挙管理委員会や警察へ通報しましょう。

金銭・物品を受け取る行為

候補者や陣営から金銭・飲食・贈答品などを受け取る行為は、公職選挙法で重く扱われる「買収」にあたる可能性があります。
渡した側だけでなく、受け取った側も処罰される点が大きな特徴です。

また、「受け取ってはいないが、受け取る約束をした」「提供の申し出に同意した」といった段階でも、犯罪が成立するケースがあります。
選挙と関係が明示されていない贈り物でも、時期・状況次第では買収と判断されることがあるため、注意が必要です。

候補者や関係者からの金品提供には、決して応じないようにしましょう。

事前運動に該当する投票依頼・署名集め

選挙運動が許される期間は、公示(告示)日から投票日前日までです。
この期間外に投票依頼を行うと、公職選挙法が禁じる「事前運動」に該当します。

具体例は、下記のとおりです。

  • ・候補者名を出して支持を求める行為
  • ・当選を目的とした署名活動
  • ・電話・SNSで特定候補への投票を呼びかける行為

選挙期間前であれば政治活動は可能ですが、「投票依頼」「当選目的の呼びかけ」が含まれると違法となります。

インターネット・SNSで選挙違反となる可能性がある行為

インターネット選挙が解禁され、一般の有権者でもSNSやブログで候補者への支持を発信できるようになりました。
しかし、発信の自由が広がった一方で、ネット上には選挙運動として禁止される行為も多く存在します。

ここでは、インターネット・SNSで選挙違反となる可能性がある行為を解説します。

一般有権者によるメールでの投票依頼は禁止

インターネット選挙が解禁されても、「メールを使った投票依頼」は一般有権者には認められていません。メールは拡散しやすく、誤送信や転送によるトラブルが起こりやすいため、法律で規制されています。

家族・友人のような親しい相手であっても例外ではなく、「〇〇さんに投票して」とメールで送れば違法になることも。
一方、候補者や政党は一定の条件のもとで、メールを使った選挙運動が認められています。

主体によってルールが大きく異なるため、注意が必要です。
一般有権者は、メールでの投票依頼を一切行わないように徹底しましょう。

ポスター画像やビラをコピーして配布する行為

SNSで見た候補者の画像や政策を「応援のために印刷して配ろう」という行為は、公職選挙法の「文書図画の規制」に抵触するおそれがあります。

選挙で配布できるビラやポスターは、サイズ・枚数・種類が細かく決められており、許可なくコピーして配布することは違法となり得ます。

インターネット上で共有すること自体は認められていても、紙に印刷した時点で別のルールが適用されるのがポイントです。
善意でも違法扱いになる可能性が高いため、印刷して配る行為は避けましょう。

なりすまし・身元を偽った情報発信

SNSや掲示板で他人になりすましたり、架空の団体名を名乗って選挙に関する投稿を行ったりすることは、公職選挙法で禁止されています。
とくに、当選や落選に影響を与える目的で偽名を使ったり、実在しない組織を装う行為は「虚偽表示」に該当します。

インターネットでは相手の身元を判断しにくいため、虚偽の身元で発信すると有権者を誤導する危険性が高くなります。

虚偽情報・デマ拡散による落選誘導

特定の候補者を不利にする目的で、事実と異なる情報を流したり、根拠のない噂を拡散したりする行為は「虚偽事項の公表」として処罰される可能性があります。

SNSは情報の拡散力が高いため、個人の投稿であっても影響が大きい点に注意が必要です。
「聞いた話をそのまま書いただけ」「冗談だった」などの言い訳は通用しません。

真偽が不確かな情報を広めるだけでも、違法になる場合があることを押さえましょう。

投票日当日の投稿が選挙運動と判断される可能性

投票日当日は、すべての選挙運動が禁止されており、インターネット上の投稿も例外ではありません。

投票日に候補者名を挙げて応援したり、「〇〇に投票しましょう」と呼びかける投稿を行ったりすると、選挙運動と判断され違法になるおそれがあります。

また、「#〇〇推し」「応援してます」など、曖昧な表現でも文脈によっては違法とされるケースも。
SNSは投稿が即時に広がるため、投票日になった瞬間から投稿内容が厳しく見られる点に注意が必要です。

候補者・陣営側で問題になりやすい選挙違反

候補者や陣営は、選挙運動の中心的な立場であるため、公職選挙法のルールを厳格に守る必要があります。
候補者・陣営側で問題になりやすい選挙違反は、下記のとおりです。

  • ・戸別訪問・個別訪問による投票依頼
  • ・買収・寄付・飲食提供など金品供与
  • ・選挙運動の期間・方法の違反行為
  • ・経歴・実績を誤認させる虚偽事項の公表

詳しく見ていきましょう。

戸別訪問・個別訪問による投票依頼

選挙期間中に有権者の自宅や事業所を一軒ずつ訪ね歩き、投票を依頼する行為は「戸別訪問」として公職選挙法で明確に禁止されています。
有権者が断りにくい状況に置かれたり、圧力を感じたりすることを防ぐための規制です。

世間話や挨拶程度でも、候補者名を示して支持を求めれば違法となる場合があります。
候補者本人だけでなく、後援会・支持者・ボランティアが代わりに訪問しても違法性は変わりません。

買収・寄付・飲食提供など金品供与

候補者が票を得る目的で金銭や物品を提供する行為は「買収」とされ、公職選挙法の中でも重い違反行為として扱われます。
現金だけでなく、商品券・物品・飲食の接待・サービス提供なども対象です。

さらに、選挙区内の住民への寄付行為は、選挙の有無にかかわらず禁止されています。
重要なのは、「渡した・受け取った」という事実だけでなく、「渡す約束をした」「提供を申し出た」だけでも違法となる点です。

金品による誘導は選挙の公正性を大きく損なうため、陣営は一切の提供を避ける姿勢が求められます。

選挙運動の期間・方法の違反行為

選挙運動ができる期間は「公示(告示)日〜投票日前日まで」と厳密に定められています。
これ以前に投票依頼を行えば「事前運動」となり違法です。

選挙運動に使える方法も限定されており、下記のような細かい規定があります。

  • ・ポスターのサイズ・掲示場所
  • ・ビラの配布枚数
  • ・選挙カーの規格・使用ルール
  • ・拡声器の使用方法
  • ・街頭演説の方法

慣例や他選挙での事例を参考にすると誤解が生じやすく、悪意がなくても違反となることも。
初出馬の陣営は、選挙管理委員会に早めに確認しながら準備を進めましょう。

経歴・実績を誤認させる虚偽事項の公表

選挙で有利に立つために経歴や資格、実績を事実と異なる形で公表する行為は「虚偽事項の公表」として処罰されます。
悪意がなくても、有権者の判断に影響を与える誤った情報を発信すれば違法とされる可能性があります。

とくに、下記のようなケースは注意が必要です。

  • ・誇張した表現
  • ・不明確な書き方
  • ・誤解を招く見せ方
  • ・実績を意図的に強調・省略する行為

SNSやパンフレット、動画など発信手段が増えたことで情報の正確性がこれまで以上に求められています。

連座制とは?他人の選挙違反が候補者に及ぶ仕組み

連座制とは、候補者本人が直接指示していなくても適用される制度です。
秘書・親族・総括主宰者など、選挙運動の中心となる人物が選挙違反(買収など)で有罪になると、候補者本人の当選が無効になります。
一定期間は立候補もできなくなるため、注意が必要です。

選挙の公正性を守るため、候補者には「組織全体の適切な監督責任」が求められています。
関係者の行動が、候補者の政治生命に直結するケースがあることを理解しておきましょう。

選挙違反が疑われたときの手続きの流れ

公職選挙法違反が疑われたときの手続きは、基本的に通常の刑事事件と同じ流れで進みます。
手続きの流れは、下記のとおりです。

段階

詳細

事件発覚・捜査開始

通報・告発などをきっかけに警察が捜査を開始

任意の取調べ・容疑者特定

任意同行・事情聴取で事実確認

逮捕(最大72時間拘束)

証拠が揃えば逮捕、原則は令状が必要

送検(検察へ移送)

逮捕から48時間以内に送検

勾留(最長20日間)

裁判所が認めれば10日+10日延長で最大20日捜査継続

起訴・不起訴の判断

証拠十分なら起訴、軽微・不十分なら不起訴

刑事裁判

有罪・無罪を判断

刑罰の執行

有罪確定後、罰金・拘禁刑を執行

「いつ何が起こるのか」を把握しておくことで、万が一関係者が疑いをかけられた場合でも、落ち着いて対応できます。

重要なのは、焦って証拠を隠す・口裏合わせをするなどの行為を絶対にしないことです。
これらは別の犯罪として扱われ、処分が重くなります。

疑いが生じた段階で、できるだけ早く弁護士へ相談することが最善の対応です。

選挙違反を見つけたときの相談・通報先

選挙違反を発見した場合は、選挙の公正を守るために速やかな通報が必要です。
おもな相談先は「警察」と「選挙管理委員会」です。

警察は捜査権をもっています。
そのため、暴行を伴う演説妨害や買収行為など、緊急性の高い事案では110番通報も可能です。

一方、選挙管理委員会は捜査権こそありませんが、ポスター破損の補修依頼など、公正な選挙環境を整えるための対応を行ってくれるでしょう。

通報の際は、「いつ・どこで・誰が・何をしたか」をできるだけ具体的に伝えることがポイントです。
写真・動画などの客観的な証拠があると、より正確に状況を把握してもらえます。

選挙違反を未然に防ぐための対策

選挙違反の多くは、候補者本人ではなく家族・スタッフ・ボランティアなど、周囲の人が「知らずに」行ってしまうケースです。

選挙違反を未然に防ぐためには、下記の対策が有効です。

  • ・選挙期間・年齢制限・報酬ルールを全員で共有する
  • ・インターネット選挙のOK・NGをスタッフやボランティアにも徹底する
  • ・家族や友人にも違反になりやすい行為を伝えておく

詳しく見ていきましょう。

選挙期間・年齢制限・報酬ルールを全員で共有する

公職選挙法では、選挙運動が可能な期間、参加できる年齢、運動員へ支払える報酬額などが細かく定められています。

とくに下記の3つは「知らずにしてしまう代表的な違反」です。

  • ・選挙期間外の投票依頼(事前運動)
  • ・18歳未満の選挙運動参加
  • ・報酬としての金銭・飲食提供

これらの内容は、候補者だけが理解していても不十分です。
スタッフやボランティアを含め、陣営全員が同じ前提を共有することがポイントです。

選挙前のミーティングで「基本ルール」を確認しましょう。

インターネット選挙のOK・NG例をスタッフやボランティアにも徹底する

インターネット選挙は便利な反面、些細な投稿が違反にあたるケースが多い領域です。
とくに選挙期間外の投稿は誤認されやすく、慎重な運用が必要になります。

おもな注意点は、下記のとおりです。

  • ・一般有権者はメールでの投票依頼が禁止(候補者・政党のみ可)
  • ・SNSでの選挙運動には発信者情報の表示義務がある
  • ・未成年はリポストやコメントも含め、一切の選挙運動が禁止

スタッフやボランティアが個人アカウントで誤投稿した場合、陣営全体に影響が及ぶことも。
トラブルを防ぐためにも、事前にインターネット選挙のルールを共有し、OK・NGの基準を明確にしましょう。

家族や友人にも違反になりやすい行為を伝えておく

家族や友人が 応援のつもりで行った行為が、選挙違反にあたるケースも少なくありません。

具体的には、下記のような行為です。

  • ・家族が知人へ投票依頼のメッセージを送る
  • ・ビラを勝手にコピーして配布する
  • ・SNSで過度に拡散し、選挙運動と誤解される投稿を行う

さらに、連座制によって、家族の違反が候補者本人に影響する可能性もあります。
そのため、選挙前に 「これはNG」という具体例を家族・友人に伝えておくとよいでしょう。

まとめ:選挙違反になる行為を知り、ルールを守って選挙に関わろう

選挙違反は、候補者だけでなく一般の有権者でも、意図せず関与してしまうケースがあります。
ポスターの破損やSNSでの投票依頼など、何気ない行動が違法となる可能性もあるため、公職選挙法の基本ルールを把握しておくことが大切です。

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監修者

浅田 孝

アサダ印刷株式会社 代表取締役
W1N選挙カー 代表
1968年生まれ

累計400を超える選挙活動に従事、選挙カー貸出とともに候補者の寄り添い、共に当選を目指す。
モットーは、問い合わせメールに最短で返信(休日関係なく)依頼事は、経験なくても断らず全力で対応する。
常に、候補者目線で考え行動する。
選挙のプロであり、印刷のプロ。